兵庫県丹波篠山市は27日早朝、濃い「丹波霧」に包まれた。道端では、イネ科の多年草「チカラシバ」の穂に球形の水滴がびっしりと付き、まるで白いブラシが林立しているかのような景色が広がった。
チカラシバは日本のほぼ全土に分布し、夏以降、花茎が出る。先端には細かい針状の毛に包まれた穂が付くが、霧の水滴をまとうと一気に存在感が増す。
しっかりと根を張るため、「厄介者」ではあるが、子どもたちが毛虫に見立てて遊んだり、古くは万葉集にも登場するなど身近な存在だ。
フォグランプを点灯した車が通り過ぎると、白いブラシがゆらゆらと揺れる。秋の深まりを感じさせる一日が始まった。