「丹波竜」化石発掘現場で調査 骨片や卵のかけらを発見 「この場所は宝の山」

2021.11.28
地域自然

丹波竜化石発掘現場の周囲で、発掘調査に励む参加者=2021年11月19日午前10時43分、兵庫県丹波市山南町上滝で

兵庫県丹波市山南町の上久下地域自治協議会と企業組合元気村かみくげが16―19日、同市山南町上滝の丹波竜化石発掘現場(上滝水力発電所跡篠山川河床)で化石発掘調査を実施した。4日間の調査で、専門家や住民ら延べ40人が参加。大人の握りこぶし2回りほどの大きさの岩塊の中に、卵のかけらが密集した状態で見つかったほか、小さな生き物の骨片を複数発見した。クリーニングなどを施し、調べを進める。

約1億1000万年前の篠山層群大山下層を発掘。最終日の19日には、約10人が参加し、削岩機で掘ったり、たがねで表層を削ったりと、目を皿のようにして化石を探す地道な作業が続いたが、「宝探しみたいやね」と笑顔を見せていた。化石らしきものを発見するとルーペで確認し、小さな袋に入れて収集した。

丹波竜の第一発見者の一人で、非鳥類型では世界最小となる小型獣脚類恐竜の卵・卵殻化石「ヒメウーリサス・ムラカミイ」(ギネス世界記録に認定)の発見者でもある村上茂さん(77)=同町下滝=は、「この場所は宝の山。宝を継続して探し出して『恐竜の里』のイメージを不動のものとし、地域の活性化につなげたい」と話している。

調査に立ち会った県立人と自然の博物館の久保田克博研究員(42)は、「前期白亜紀の地層において、恐竜の卵、卵殻化石の発見は恐竜王国として知られる福井県でも2種類、世界でもスペインの5種類が最多だったのに、ここではすでに6種類が確認されている。カエルなどの小動物の化石も見つかっていることから、恐竜が闊歩したその足元の風景までもリアルに復元できる可能性を握っている場所」と期待を語った。

丹波竜化石発見から15年がたち、大規模発掘調査はいったん終了したが、同協議会などは、その後も丹波竜化石発見場所の周囲で、元気村かみくげの化石専門指導員・化石調査隊をはじめ、住民、人と自然の博物館、市などと年に1度、「丹波竜の仲間と古代のロマンあふれる化石を探そう!」と銘打って、発掘調査を続けている。この取り組みの中で村上さんは、2016年に長さ約10センチ、親指ほどの太さの獣脚類恐竜の首の骨の一部を、19年にはヒメウーリサス―を見つけた。

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