兵庫県丹波篠山市の城東小学校に2日、北京五輪の陸上5000メートル、1万メートル日本代表、竹澤健介さん(35)が来校し、4年生以上の66人を前に、夢をかなえる“秘訣”を語ったり、グラウンドに出て長距離の走り方を指導したりした。五輪選手やパラリンピック選手を学校に派遣し、子どもたちのスポーツへの関心を高める県の事業。
竹澤さんは姫路市出身で、現在は大阪経済大学陸上部ヘッドコーチを務める。報徳学園高校から早稲田大学へ進み、箱根駅伝で区間賞を取るなど活躍。大学4年時に北京五輪に出場した。
中学で陸上を始め、報徳学園に進学。当時の故・鶴谷邦弘監督について、「いつも笑顔の人だったが、陸上に関しては厳しかった。『お前は真面目そうに見えて不真面目』と言われたことがある。当時は意味が分からなったが、『みんなと同じことをやっていても駄目。自分で考え、工夫して努力しなさい』ということが伝えたかったんだと今なら分かる」と語った。
同小6年生に鶴谷監督の孫、大我君が在籍しており、「丹波篠山は、高校時代の県駅伝大会で走ったことがあり、監督のお孫さんとも出会えた。この縁に感謝し、すごくうれしい」と話した。
五輪については、「考えもしていなかったが、憧れだった早稲田大の選手となり、箱根で区間賞を取った。次の目標を考えたときにポッと出たのが五輪出場だった」と言う。同五輪で5000メートルは予選落ち、1万メートルは28位。「自分が思っている以上に世界のレベルは高かった。もっとやれたのではないかという悔しさの反面、満足感もあった。結果は残せなかったが、すごい経験をさせてもらった」と振り返った。
夢をかなえるポイントとして▽達成できそうな目標を立てる▽目標に向けて計画的に努力する▽人よりもちょっとだけ努力する―の3点を挙げた。「まずは冬休みの宿題を、少しずつ計画的にやってみてほしい。夢をかなえる練習にして」と呼び掛けていた。
陸上教室では股関節を鍛えるトレーニングをしたり、走るときの姿勢の大切さをアドバイスしたりしていた。鶴谷大我君は「自分のおじいちゃんのことが知れて良かった。(竹澤さんが)高校時代に毎日30キロ走っていたと聞いて驚いた。今度のマラソン大会で去年より順位を上げたい」と話していた。