新型コロナウイルスの感染状況が落ち着いていることを受け、兵庫県は11月26日から飲食店に対し、「同一テーブル4人以内」の制限を解除したが、丹波地域の飲食店の客足の回復は限定的な状況。忘年会シーズンが到来したものの、感染拡大「第6波」への不安は尽きず、先行きを不安視する声が多い。
丹波市のある居酒屋は、10月の緊急事態宣言解除後の客の入りは「良くない」と言い、丹波篠山市の囲炉裏料理「いわや」も「人数制限は解除されたが、小グループがほとんど」と話す。
忘年会や新年会の予約状況について、同市の料理旅館「玉川楼」は「予約を書きこむホワイトボードが真っ白だった昨年ほどではないものの、予約が入っていても1日1組程度」と漏らす。前出の丹波市の居酒屋も「本来なら、忘年会や新年会で慌ただしいシーズンだが、商工会など横のつながりで予約がちらほら入っている程度。会社や学校関係などはまったく予約がない」と肩を落とす。
一方、丹波市の別の飲食店は「忘年会の予約は、完全にとまでは言えないが、平時の状況に戻りつつある。ランチタイムはすでに忙しくなっている」と言い、丹波篠山市の「ユニトピアささやま」では「県民割で実質4000円の2食1泊の平日プランが人気」と回復傾向を示すところもある。
今後の見通しを立てる上で新変異株が影を落とす。丹波篠山市の別の料理旅館は「オミクロン株への危機感が拡大する中、経営側も何かを変えていかないともたない。今まで通りでは駄目なのは分かっているが、まだその方向性が見いだせていない」と憂う。また、前出の丹波市の飲食店も「日本にも入ってきたオミクロン株を警戒している。再び客足が鈍ると予想して提供する料理を減らすわけにもいかず、不安の中、仕込みをしている。経営が難しい」とこぼす。
また、長期にわたり営業時短や人数制限が行われたため、長期的な不安を抱く声も。丹波篠山市の前出の料理旅館は「大学生は入学してから楽しい宴会を知らずにここまできているので、仲間と飲んだり、会食したりする『文化』が消えてしまうかもしれない。それが一番怖い」と言い、いわやでは「大学生が年に1度、ぜいたくして食べられる値段を追求してきた。なんとか値上げせずに丹波篠山全体のブランド力を守りたい」と話す。