福祉ネイリスト 石川綾子さん(丹波市)

2021.12.12
たんばのひと

石川綾子さん

ネイルを心の安定に

高齢者や障がい者らを対象に、爪にアートを施したり、ケアをしたりする福祉ネイリストとして活動している。おしゃれを楽しんでもらうこと以上に大切にしているのは「心のケア」で、傾聴による精神の安定や行動意欲を促すことにつなげている。

東大阪市出身。自分の爪にマニキュアを塗っておしゃれを楽しんでいたこともあり、手に職を付けようとネイルケアの専門学校に通った。当時、ネイリストという職業の認知度は低く、「仕事として成り立つのか不安だった」と振り返る。

ネイルサロンに勤務し、3年ほどで独立。ある日、体調を崩した友人の気晴らしになればとネイルケアの方法を教えていると、指導の奥深さに触れた。自身の技術を高めるのにつながったこともあり、“教える側”に転身。専門学校の講師を務めるまでになった。

結婚を機に、昨年12月に丹波市に移住。偶然、SNS(交流サイト)で「福祉ネイル」の存在を知り、これまでの経験が生かすことができ、高齢者が多い地域の役に立てるかもしれないと感じた。日本保健福祉ネイリスト協会による福祉ネイルの資格を取得し、自宅で同協会認定の丹波校を開いた。

高齢者へのネイルケアには、認知症予防に効果があるとされる「見る・話す・触れる・立つ」を重視した技法を実践。心理療法の一つ「回想法」も取り入れ、昔を振り返ってもらうことで古い記憶を呼び起こし、脳の働きの活性化につなげている。

コロナ禍収束の先には、様々な施設を訪問したり、福祉ネイルの裾野を広げる活動を思い描く。「ネイルの、きれいになる以上の付加価値を感じてもらいたい」。38歳。

関連記事