兵庫県丹波市のJA丹波ひかみ(藤原昌和組合長)は1日、同JA本店で会見し、新型コロナウイルスの影響で仮渡金が5600円に下落した令和3年産米について、出荷1袋(30キロ)につき300円を支援すると発表した。米価下落で来年度以降、作付けをやめる生産者が出かねない状況にあり、生産意欲を喚起し生産基盤を維持するために同JA独自で取り組む。会見で片山哲郎常務(59)は、「米価下落の支援ではなく、コロナを災害と捉え、支援する」と述べた。
300円の支援で、コシヒカリ1等1袋の場合、仮渡金は5900円になる。仮渡金は、令和2年産から900円減と大幅に下落していた。
令和3年産米を、来年1月31日までに同JAに出荷する生産者が対象。等級は不問。規格外も対象。加工用米は対象外。これから出荷契約を結ぶ人も支援対象になる。
支払い日は、12月10日までの出荷米は12月24日。また、12月11日以降、来年1月31日までの出荷米と令和3年産規格外米は来年3月28日に支払う予定。
コロナ禍の外食需要減で米の持ち越し在庫が増え、米価が下落。「採算が合わない。やめる」の声が各営農経済センターに届いていた。生産者が来年産米の作付けを考える時期に差し掛かっており、このタイミングで生産者支援を打ち出す必要があると判断した。
特産物の種子購入助成や、特産生産団体補助に充てている営農支援積立支援金(総額1億円)から4350万円を支出する。
同JAの米出荷農家は約2000。支援は、14万5000袋の規模を見込む。同JAが全ての米生産者を対象に緊急支援金を出すのは初めて。