コロナでもつながりを―。「子ども食堂オープンしまーす」。午後4時半、丹波つながり子ども食堂(兵庫県丹波市氷上町上成松、天理教氷上分教会内)に、十倉豊治さん(44)の声が響いた。仕事帰りのお父さん、お母さんたちが立ち寄り始め、ボランティアスタッフの盛り付けのピッチが上がる。この日は午後6時までに106個の手作り弁当を手渡した。
同食堂は昨年6月、同教会長の豊治さんと妻の美歩さん(43)が立ち上げた。「共働き家庭が増える中、夕食作りの助けに」との思いから、月1回、平日夜に設定している。「『お弁当の日は、月1回、食事をしながら子どもたちとゆっくり向き合える日になっている』というメールをもらってうれしかった」と美歩さん。
食材の寄付と社会福祉協議会の補助により、弁当は1個100円(幼児は無料)。困っている家庭に限らず、高校生以下の子どもを対象に、誰でも公式LINEから申し込みができ、毎回、告知後ほどなく申し込みが定数に達する。
「どんな食材の寄付があるか分からないので、ギリギリまでメニューが決まらないんです」と美歩さん。6人の子どもの子育てで培われた経験も生かし、子どもたちが喜ぶメニューに知恵を絞る。
豊治さんの同級生、細見こころさん(44)を始め、調理や盛り付けには多くのボランティアが協力。美歩さんのママ友たちや、長女の里夏さん(小学4年)と、その同級生の北野愛奈さん(同)、木戸口愛菜さん(同)、足立葵さん(同)も貴重な戦力だ。
「コロナ禍で人と人とのつながりの大切さを改めて感じた」と豊治さん。一昨年の夏、町内のバス会社がボランティアでスクールバスを走らせたことにも刺激を受けたといい、十倉夫妻は「自分も何かできることをしようという気持ちの輪が自然と広がり、笑顔になる人が増えればうれしい」と話している。