たたいて祈る 木の棒使う風変わりな法要 江戸初期からの年中行事

2022.01.10
地域歴史

ゴズエと棒で机上をたたき、五穀豊穣などを祈願する住民たち=2022年1月9日午後1時9分、兵庫県丹波篠山市今田町下小野原で

兵庫県丹波篠山市今田町下小野原の公民館で、ヌルデ(ウルシ科)の木で作った「ゴズエ(牛玉杖)」と呼ぶ杭で、机上を激しくたたき、福寿増長や五穀豊穣などを祈願する風変わりな法要「堂の講(どのこ)」が行われた。

住民約20人が参加。シキミの葉や、半紙で飾った長さ約50センチのゴズエと、同じくヌルデでこしらえた細長い棒を手に持ってスタンバイ。祭壇に祭った地蔵菩薩の木像に向かって経を唱える和田寺の武内泰照住職の合図で、一斉にゴズエと棒で机上を激しくたたき、室内にけたたましい音を響かせた。

黒色の短い棒を額などに押し当てる「いんのこ」の儀式を行う住民たち

江戸時代初期には行われていたとされ、もともとは豊作祈願や虫よけ、雨ごい、牛馬の健康などを祈願して営まれていたという。机上を叩くのは、願いの強さを表現しているとされる。

その後、当番人が参加者一人ひとりにお神酒や洗米を配り、硯(すずり)の墨をつけるしぐさをしながら短い棒を、額、あご、鼻の順に3回繰り返して押し当てる「いんのこ(印の功、印の幸)」の儀式を行い、無病息災などを祈った。

ゴズエは各自で持ち帰り、田んぼに水を引き入れる「水口(みなくち)」に立てる習わしがある。

関連記事