兵庫県丹波篠山市出身で吉本興業所属のお笑い芸人・森田まりこさん(40)と、ギター芸で人気の松浦真也さん(45)のコンビ「ヤンシー&マリコンヌ」が、森田さんの母校の県立篠山鳳鳴高校にサプライズで来校。3年生135人を前にネタを披露した。定番のリンボーダンスや、この日のために用意した「鳳鳴あるある」といったネタと、音楽に合わせた軽妙なやり取りで沸かせた。
朝、緊急集会と伝えられた3年生は体育館に集まった。不穏な空気も流れる中、体育館の入り口から2人が勢いよく現れると、どよめきと拍手が巻き起こった。生徒たちは「うそ」「本物やんな?」と驚きを隠せない様子だった。
水平にギターを持つ松浦さんの手に、腰を反ってくぐり抜けようとする森田さんの胸が当たってしまうというリンボーダンスネタのほか、「校舎見て『なんか壁、茶色くない?』と思ったらカメムシの大群」「鳳鳴坂登るとき、スカート短くしてたら大体、生徒指導の先生が怒ってくる」と、鳳鳴生の共感を呼ぶ「鳳鳴あるある」も披露した。
高校時代、創作ダンス部に所属していたという森田さん。「ここ(体育館)で毎日、レオタード姿で踊っていた。男子の練習を横目で見ながら、『あ、筋肉格好良い』『みんな私を見て』と思いながら練習していた」と、卒業から23年を経て、当時の秘話を“暴露”。松浦さんからすかさず「集中せえ」とツッコミが飛んだ。
ネタを終え、森田さんは母校の後輩に向け、「これからそれぞれ色んな人生を歩むと思うけれど、自分のやりたいと思ったことは、すぐにやってみて。何か困ったことや悩んだことがあれば、私たちに会いに、なんばグランド花月に来てください」と弾けんばかりの笑顔でエールを送った。
小学校時代から吉本新喜劇のファンという生徒は、「心臓がばくばくして、こんな間近で見て良いのかと思った。すごく面白かった。まだ先に受験があるけれど、これを励みに頑張れる」と興奮冷めやらぬ様子で話していた。
森田さんは「高校に来たのは15年ぶりぐらい。教育実習で、保健体育教諭として来た時以来で、懐かしい。まさか芸人として舞台をしに来られるなんて」と感慨深げだった。
昨年4月に、同じ吉本新喜劇の劇団員、清水啓之さんと結婚。新婚生活は「大きなけんかもなく、仲良くやらせてもらっています」と言い、「毎日、いってらっしゃいとおかえりの時には、ほっぺたをすりすりするのを欠かしません」とのろけていた。
「コロナ禍でも前向きに学校生活を送ってきた3年生に、何かサプライズを」と考えた学年主任の森本聡一郎教諭(54)が、森田さんに手紙で来校を依頼して実現した。
3年生は、コロナの影響を受け続け、学校生活でさまざまな制約を余儀なくされてきた。2年時には修学旅行へ行くこともできなかった。
サプライズを依頼する手紙で、森本教諭は「誰一人として不満を口にしたり、悪態をついたりすることもない。本当に素晴らしい生徒たち」と、コロナ禍でも前向きに学校生活を送る3年生の様子を伝え、「これから受験に立ち向かう生徒や、4月から新たな環境で生活を始める生徒に何かメッセージを送ることができないかと考えた。お力を貸していただければ」とつづった。
森本教諭は、熱い思いを込めた手紙を、市内で暮らす森田さんの父・直樹さんに手渡した。直樹さんは「おお、そんなもん届けたる」と、森田さん宅へ郵送してくれたという。
手紙を受け取った森田さんは「私で力になれるのなら」と、二つ返事で引き受けた。