食材と人、文化に引かれ
昨年11月、丹波篠山市河原町に自家焙煎の珈琲店「EQUATOR(イクウェイター)」をオープン。起業の地を丹波篠山にした理由は、「野菜などの食材、温かい人、そして伝統文化―。丹波篠山好きとして、ここで仕事をしようと決めました」とほほ笑む。
加古川市出身。3歳の頃から菓子作りに目覚め、製菓の専門学校を卒業した後、パティシエとして社会に出た。そこで出合ったのが、「コーヒー」。もともと甘いコーヒーしか飲めなかったが、厳選された豆を使ったエスプレッソを飲んだ時、衝撃を受けた。
「一般に飲まれているコーヒーは苦みが強く、くせが強い。でも、生産量が少ない本物の豆はまったく違う。心と体の健康食品だとさえ思ったほどで、たくさんの人に知ってほしいと思いました」。エスプレッソにデザインを描く「ラテアート」にものめり込み、母校の専門学校で教鞭を執ったこともある。
最先端を学ぶため、上京して喫茶店巡りもしたが、高砂市に名店があることを知り、帰郷。店に足を運んだその日に入店し、修業した。その後、古民家を活用したホテル「NIPPONIA」にパティシエとして勤務。並行してラテアート教室や豆の卸を行い、軌道に乗ってきたことから独立を果たした。
厳選した豆で煎れたコーヒーとパティシエの腕を生かしたスイーツ、修業時代に学んだカレーライスが武器。もちろん地元農家の野菜も使う。
「2年間、丹波篠山に住み、本当にこのまちが好きになった。店を通して、コーヒーだけでなく、丹波篠山の魅力発信にも貢献できれば」と意気込む。29歳。