未曽有のコロナ禍にあっても、地域で生活をする上で大切な「つながり」。人々の行動が制限される中でもつながりを失わず、「コロナでもできる」工夫を凝らした活動は、地域に明るい光を照らす。兵庫県丹波市市民活動支援センターを運営するNPO法人「丹波ひとまち支援機構」(通称・たんえん)は、そんな市内団体の活動事例を「共有財産」と位置付け、他団体に共有・活用してもらう「社会的つながりプロジェクト」を始めた。
活動の柱は大きく4つ。▽活動団体を招いて事例を発表してもらう「交流会」▽各団体の活動や成果、課題などの「情報収集」▽これらをウェブサイトに掲載し、コロナに負けない地域づくりに取り組む市をPRする「発信」▽年度末に一連の活動の報告を行う「シンポジウム」―。これらを繰り返しながら、団体同士の連携をつくったり、新たな活動を生む機運を高めていく。昨年10月と12月には交流会を開催し、計60人が参加し、4団体が登壇した。
同法人は自治会や市民団体、NPO法人などの活動を支える「中間支援組織」。同プロジェクトは、コロナ禍の影響で進む孤立や分断、つながりの損失を防ぎ、地域住民の活動を共有し支え合う関係をつくることで、つながりを紡ぎ直すことを目的にしている。
同法人代表理事の戸田幸典さん(41)と、監事の法橋聡さん(66)によると、各団体の活動を共有化し、互いに応援し合う「たんえん」のような活動は、全国的にはないという。2人は「コロナ禍でも工夫して行った活動には、ヒントが詰まっているはず」と語る。
その先に見据えるのは、総合的な地域力のアップだ。いずれコロナが収束しても、地域には人口減少や高齢化、過疎化など、依然として大きな課題がある。これらの壁に向き合い、解決するには、地域団体が互いに「顔が見られる関係」をつくっておけるかがキーになると捉えており、戸田さんと法橋さんは「さまざまな活動の担い手やプレーヤーが連携し合える関係がつくれていれば、課題を乗り越える原動力となる。地域力を押し上げるためにも、各団体の活動事例を知り、地域の団体に刺激を与えることにもつながれば」と話している。