寅年に軽〝トラ〟ックの業界でさらなる飛躍を目指すのが、兵庫県丹波篠山市住吉台の有限会社「エフクラス」だ。軽トラックを遊びにも使えるよう、ルーフ(屋根)部分に装着するキャリア(荷台)やライトなどのパーツと、それらを装着した軽トラックを企画、販売している。「ハードカーゴ」のブランド名で展開中。社員、パート合わせて17人で、昨期の年商は一昨期から1・5倍増の約7億円。芸能人らの愛好家も多く、田中宏之介社長(48)は「パーツと言えばハードカーゴとイメージされるようブランド力を上げていきたい」と話している。
軽トラックの荷台に取り付けるキャリアやカバー、ゲート、キャンプ用の「サイドオーニング」、「ルームテント」のほか、商用車のバンに使うキャリアやはしごなど。午前に注文を受ければ、当日発送をする。
広い倉庫と駐車場を求め、一昨年12月に三田市から移転した。
2002年、田中社長は輸入車のパーツの企画・販売で起業。中古車も販売した。09年頃に会社資金を安定させようと、三田市のラーメン店のオーナーに。その駐車場で建築土木関係の軽トラックにそれぞれの荷物を載せるためのパーツを工夫して作っていることから、「アメリカのピックアップトラックのような定番のパーツがあれば」と、デザイン性と機能性を兼ね備えたパーツの企画と販売を5年前に始めた。
「今まではブームに乗ってきたが、今度は自分がブームを作ろう」とメディア、カーメーカーなどと手を組み、建築土木関係の軽トラックパーツを売り込んだ。
日本のアウトドア志向をいち早く察知し、アウトドア用のパーツを増産。「軽トラ遊び」を市場に提案し、売り上げを伸ばした。タレントのヒロミさんや、お笑いコンビ「ロンドンブーツ1号2号」田村亮さんの配信動画で紹介されたり、歌手「C&K」のプロモーションビデオに登場したりし、知名度を上げた。
軽トラ遊びを気軽に楽しんでもらおうと、取扱説明書を分かりやすくし、組み立て方を動画で配信。大きなパーツは分割し、個人宅に届きやすいサイズにした。また、販売網を全国約300の自動車販売店、オートバックス全店、ダイハツに広げ、手に入れやすさを追求した。
田中社長は「この1年で従業員を倍にし、丹波篠山市を拠点に事業を拡大したい」と奮起。総務担当の高橋幹子さん(同市味間南)は「車、動画配信、アウトドアなどさまざまな関係者と関われる仕事でやりがいがある。地元の高校生に身近にこんな会社があることを知ってほしい」と話している。