イーバイクにまたがり、ツアーをPRする村上さん＝兵庫県丹波篠山市福住で

自転車の販売や修理、カスタム（特別仕様）を手掛ける店「自転車工房ハイランダー」（兵庫県丹波篠山市福住、古市）が、スポーツタイプの電動アシスト付き自転車「イーバイク」で、国重要伝統的建造物群保存地区に選定されている丹波篠山市福住地区内を巡るサイクリングツアーを始めた。今春から参加者の行きたい場所などに応じたツアーも始めようと企画中。市内には急な坂道も多いが、イーバイクを使えば、体力に自信がない人でも無理なく、自然豊かな景観をさっそうと満喫できる。店主の村上大輔さん（33）は「季節ごとに変わる田園風景や音、匂いを鮮明に感じられる。ちょっと違った日帰り旅行を体験してみては」とアピールする。

イーバイクは、こぎ始めや上り坂など、力が必要なときに踏む力をアシストするモーターを内蔵しており、山道や峠道でも、難なく駆けることができる。

「市内は走り尽くした。私以上に丹波篠山の道を知っている人はいません」という村上さんと、学生時代から自転車で全国各地を旅してきたという丹波篠山市地域再生協働員の置塩ひかるさんがガイド役を務める。

福住地区を回るツアーは1人6000円で、所要時間は1時間半―2時間程度。開催人数は1―4人。同地区は商家の建物が多く見られ、宿場町の面影が色濃く残っている。村上さんは「ちょっとした小道や神社など、車の観光では出合えない場所に案内します」とアピールする。

陶芸体験をしたい人には日本六古窯の一つ「丹波焼」で知られる今田地域を勧めるなど、参加者が行きたい場所や、やってみたいことに応じて巡る場所を決める“オーダーメード”のツアーも、今春から始動予定。

以前から、自転車を生かして丹波篠山の観光業界を盛り上げたいと考えていた村上さん。普通の自転車を使って市内を回るツアーを実験的に企画したこともあったが、男性と女性の脚力差などに課題を感じていた。

村上さんは「車での観光では、行く場所は城下町や美術館など、どうしても“点”での観光になってしまう。自転車で巡れば、道端におられる農家の方との会話などを通じて、より鮮明に土地柄を感じてもらえると思う。移住促進にもつながれば」と期待している。