兵庫県丹波篠山市南矢代の劇場「OZ’sブロードウェイシアター&カフェ」を拠点に活動している、1994年結成の女性のみのミュージカル劇団「OZ mate(オズメイト)」が2月6、12、13、19の4日間、同劇場で、2016年にニューヨーク国際フリンジフェスティバルで公演したオリジナルミュージカル「大江山鬼伝説」を関西で初めて上演する。各日午後2時開演、上演は約1時間半。19日午後5時からは同法人初のライブ配信を行う。
京都府福知山市に残る「大江山鬼伝説」をモチーフにした。平安時代、時の権力者である藤原長道は次の関白の座を狙ってライバルの貴子と権力争いに。やがて争いはエスカレートし、長道の息子・伊吹丸は自分を裏切った父への憎しみから本物の鬼へと姿を変えていく―というストーリー。作曲・作詞、作・演出、振り付けを同劇団主宰の辻井奈緒子さんが担当した。
辻井さんが大江山鬼伝説を取り上げたのは、2012年の尼崎事件(連続殺人・死体遺棄事件)がきっかけ。「人が鬼のようになることがある。誰もが鬼になる可能性を持っているのでは。鬼となった人の心の中を描きたい」と思ったという。
国内外800以上の応募団体の中からニューヨークでの演劇祭参加の切符をつかみ取り、作品の持つメッセージ性や演劇性、芸術表現が認められ、現地メディア「DCメトロシアターアーツ」のベストミュージカルの一つに選ばれた。19年に東京で公演したが、関西では今回が初めて。
辻井さんは「現在のコロナ禍の中で上演する意味があると思う。新型コロナウイルスと闘っているというより、人と闘っているよう。コロナ禍を乗り切れるよう、自分の心と向き合っていただけるような舞台にしたい」と話している。