江戸時代後期の高僧、徳本行者(1758―1818)が丹波地域を訪れたことを今に伝える兵庫県丹波市青垣町小倉の石碑に解説看板が立てられ、徳本と丹波との関わりを紹介している。丹波地域の浄土宗寺院の檀信徒でつくる「浄土宗丹波組ダーナの会」が設置した。
徳本は和歌山県日高町の生まれ。昼夜を問わず念仏に打ち込む苦行の末、念仏の奥義を悟ったと言われ、全国各地を行脚し念仏布教をした。庶民はもちろん、諸大名も崇敬し、俳人の小林一茶も徳本を慕ったとされる。
徳本が書いた「南無阿弥陀仏」の名号を刻んだ石碑は各地にあり、解説看板を立てた石碑もその一つ。台座を含めて高さが3メートル近くあり、全国的にも最大級の大きさという。
解説看板には、「徳本行者は文化8年(1811)にこの地を訪れたと推測される」などとあり、看板に記されたQRコードをスマートフォンで読み込めば、グーグルマップ上に、丹波地域にある徳本の石碑の場所が表示される。現在、丹波市では7カ所、丹波篠山市では9カ所で石碑が確認されている。
看板の設置を担当した同市青垣町佐治、稱念寺の橋本崇史住職は「徳本行者が丹波の人々にも多大な感化を与えたことを伝える石碑。その歴史的意義を知るきっかけになれば」と話している。