兵庫県丹波地域では冬季に見られる小さな野鳥「ルリビタキ」(ヒタキ科)が冬枯れの林の中を元気よく飛び回り、自然愛好家らの目を楽しませている。
スズメほどの大きさ。成鳥の雄は頭から背中にかけて美しい瑠璃(るり)色、脇はオレンジ色で腹側は白色。雌は背中側が地味な緑褐色。撮影したのは幼鳥で、まだ雌雄の判別が難しい。
冬に山仕事をする人たちの間でもなじみの鳥のようで、柴刈りの最中に現れ、すぐそばまで寄って来る愛嬌者だそう。丹波篠山市今田町の一部の地域ではその昔、この習性から親しみを込めて「ナタカクシ」と呼んでいたという。
同町の男性(80)によると、「静かにしていると、1メートルほど近くに寄って来ることも」と言い、「捕まえようとするも、ひょいと少し離れた場所へと飛び移る。一向に距離を詰めることができず、これを繰り返しているうちに鉈(なた)をどこに置いたのか分からなくなってしまうと聞いた」と話す。
丹波野鳥の会会長の梅津節雄さん(68)によると、夏に北海道から中部地方以北、四国の高山帯で繁殖。兵庫県でも高山地帯でわずかに繁殖しているというが、冬鳥として10月から翌年3月ごろまで観察できるという。
一昔前はなじみだったルリビタキも、今や県版レッドリストで絶滅が危ぶまれるAランクに指定されている。