兵庫県丹波市柏原町で但馬牛の繁殖を手掛ける「下山ファーム」で飼育する繁殖牛が珍しい双子を出産した。経営者の下山一彦さん(67)は、「自分の牧場で産まれたのは、牛飼いを25年間してきて初めてのこと」と驚きつつ、「母乳だけでは足りないので、毎日のミルクやりが大変ですが、2頭とも機嫌よく、すくすくと元気に育ってくれているのでうれしい限り」とほほ笑んでいる。
双子の母牛は15歳で、13産目となる「はまぎく6」。人間でいえば70―80歳くらいという。双子の子牛は雌雄の一卵性で、父牛「丸若土井」(8歳、養父市)と母牛の名前を掛け合わせ、雄を「浜若」、雌を「はまわか」と同じ呼び名で命名。雄は漢字で、雌はひらがなで表記するのが業界の習わしという。
下山さんによると、牛の妊娠期間は人間と同じ十月十日(とつきとおか)。普通、1回の出産で1頭を産む。通常25キロ前後で産まれてくるが、「浜若」「はまわか」は約20キロと若干小ぶりだった。8―9カ月飼養して市場へ出荷する。
丹波ひかみ農協畜産センターによると、丹波市内では毎年、970頭前後の黒毛和種(但馬牛、県外産和牛)の母牛から630頭前後の子牛が産まれている。そのうち4、5組が双子という。小さく産まれたり、途中で死ぬ場合があるため、育てるのが難しいケースが多いという。