手作りスイーツの移動販売をしている兵庫県丹波市春日町の吉住知容さん(24)、理紗さん(24)夫妻が9日、「FORESTDOORしぐら」(同市青垣町文室、旧神楽小学校)に「カフェ・シュエット」を開店させる。半年続けた移動販売が縁で、空き教室に入居しないかと誘われた。常設店舗を構えることになった2人は、「ゆくゆくは、と思っていた。こんなに早く店が持てるなんて」と喜んでいる。
調理師の理紗さんが焼くチーズケーキを愛車に積み、同市氷上町の「七輪亭鶴べぇ」の駐車場などで昨年9月から販売していた。週5日街頭に立ち、通過する車におじぎをする2人の姿が話題になり、立ち寄る人が増え、評判になった。
「いつ店を持つといった見通しは、全くなかった」(知容さん)が、時折、移動販売に駐車場を借りていた建築業「栄建」(同市柏原町)から「FOREST―」への入店を持ち掛けられた。同社は「FOREST―」を運営する、製材業「木栄」(同市青垣町)のグループ会社。「FOREST―」の入居者を探していた。
昨年12月末で退店したカフェの後で、什器など、「居抜き」で使える物件で、2人は、校舎、教室の雰囲気と、青垣の自然の豊かさに魅力を感じ、出店を決めた。足りない設備を整え、菓子製造業と飲食店営業許可を取得した。
調理は、レストランで勤務経験のある理紗さんが担当。知容さんが給仕をする。週替わりランチ(1300円、飲み物付き)などランチ5種類、チーズケーキのプレート(450円、ドリンクセットで800円)などスイーツ類を提供する。テークアウトもある。
理紗さんは「ゆっくり落ち着ける空間にしたい」と言い、「これまで販売に当てていた時間に、お菓子が焼けるかな」とほほ笑む。
2人は、「『寒いやろ』と温かい飲み物やカイロ、ミカンなどを差し入れてくれるお客さんがあった。丹波の皆さんは優しいなとつくづく感じた」と、移動販売をしたことで生まれた出会いに感謝していた。
移動販売(月、火曜休み)は、知容さんの母親が引き継ぐ。移動販売でしか買えないもの、カフェでしか買えないものもたまに用意する。
午前11時―午後2時がランチタイム、午後2―5時がカフェタイム。月、火曜休み。祝祭日の場合は営業。