兵庫県丹波篠山市内4会場でひな人形の展示などを行う「丹波篠山ひなまつり」が、20日から始まる。主催する丹波篠山ひなまつり実行委員会が、兵庫県丹波篠山市に残るひな人形の特徴や節句風習などについてまとめた冊子「丹波篠山ひなまつり―ひな学散歩」(A5判カラー50ページ)を発行。ひなまつりの会場などで販売する。準備から完成まで4年をかけた。藤本善一実行委員長は「個人の家々で今も大切に受け継がれているひな人形を多く取り上げた冊子は珍しいと思う」と話している。
4章立てで、第1章「衣装雛―受けつがれた雛たち」では、日本玩具博物館学芸員の尾崎織女さんが丹波篠山のひな人形の歴史と特徴、ウイズささやまの学芸員の古西遥奈さんが青山家の姫君の暮らしを視点に寄稿している。
第2章「土のお雛さん―稲畑人形」では、稲畑人形技術継承者の赤井君江さん(同県丹波市)が稲畑人形と丹波篠山について寄稿。丹波篠山に残る土人形についても掲載している。
第3章「丹波篠山の節句習俗」では、民俗学者の久下隆史さん(丹波篠山市)が同市のひなまつり行事などについて、同ひなまつり実行委員の本荘賀寿美さんがひなまつりの行事食について寄稿している。
第4章「まち育ての雛まつり」では、丹波篠山ひなまつりのイベント内容や、市内の工芸作家のインタビューなどを載せ、同実行委員会相談役の熊谷満さんが「人形も本来は愛玩の対象ではなく、神として崇め、また身代わりの人形として諸々の禍から身を守ってくれるものだった。今こそ原点回帰で人形の歴史にも思いを馳せ、心豊かな篠山になりますように」と締めくくっている。
花本憩・副実行委員長は「この冊子が、紡がれてきた篠山の節句文化に興味を持っていただけるきっかけになれば」と話している。
1000部発行。1冊500円。