黒岡写真クラブ会長 瀬戸洋美さん(丹波篠山市)

2022.03.27
たんばのひと

瀬戸洋美さん

被写体に思い秘めて

「撮影者は空間を切り取る魔術師。写真は、撮影者の心が写し出されているから『写心』。教わったことばかりだけれど」―。飛び出す名言の数々にはファインダーをのぞいて約60年の重みがある。

初めてカメラを手にしたのは小学校高学年。親戚が写真店をしていたこともあって父が、「1台買っとくか」とカメラを購入。好奇心旺盛な少年は親戚の集まりなどでカメラ係を仰せつかり、友だちや風景なども撮るようになっていった。

篠山町農協(現丹波ささやま農協)に入り、30歳から広報担当に。「とにかく手に取って読んでもらうことが大切」と、職員の女性の写真を表紙に使ったり、B5判からA4判へのサイズ変更、ページ数を増加したりと、さまざまな改革を行った。

研修で出会ったプロの写真家から薫陶を受け、さらに腕を磨いた。広報誌のコンクールでは何度も優秀賞を受賞。県の農業写真コンテストで知事賞を獲得したこともある。

2014年、集落の懇親会で地域の写真好きが意気投合し、クラブを結成。作品展や撮影旅行にも出向いてきた。

「コロナ禍になってできていないけれど、一番の楽しみは飲み会」と笑いつつ、「感性や感覚が人によってこうも違うかと仲間同士で高め合うことが楽しい」と話す。

今後の目標は黒岡の風景を定点撮影していくこと。「この数十年で景観がかなり変わった。地元を撮影し続けることが、長い歴史で見れば地域の財産になるのではと」

魔術師であり、記録者。そんな思いを秘めて日々、被写体にレンズを向ける。
70歳。三線を手に琉球民謡のコンクールで最高賞受賞の経歴も。

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