兵庫県丹波篠山市の市立後川小学校が閉校した2010年に、当時の在校生16人が埋めたタイムカプセルの掘り出し式が3月27日、同校運動場で開かれた。閉校当時の在校生やその家族、教諭、当時後川駐在所に勤務していた警察官、地元住民ら約40人が集まった。面々は「ほんまに久しぶり」「立派な大人になって」と再会を喜び合い、12年前を懐かしんだ。掘り出したタイムカプセルの中身は、8月6日の「ふるさと後川夏まつり」で披露する予定。
同校最後の創立記念日となった10(平成22)年2月22日にタイムカプセルを埋めた。2が5つ並んだことから「ツーファイブプロジェクト」と銘打ち、次に2が5つ並ぶ日となる2022年2月22日に掘り出す予定だった。
しかし同日は平日で、集まれる人が少ないため、コロナ禍で3年連続中止になった恒例イベント「後川春来いまつり」の開催予定日だった3月27日に掘り出すことにした。
閉校時の校長だった前川修哉さん(67)が呼び掛け、当時の在校生11人が集った。コロナ禍で地域行事がことごとく中止になっていることもあり、地域住民も久々の再会。中には社会人や母になっている人もおり、地域住民や元教諭らは「誰が誰かわからへん」と目を細めていた。
偶然にも3月27日は12年前に閉校記念式典が開かれた日。式典の模様を録音した音源を流しながら、当時の在校生たちが、目印となる木の杭が設置されている場所をスコップで掘り進めていった。カプセルが土中から顔を見せると「あったー」と歓声が上がった。
発掘したタイムカプセルは、プラスチック製の箱で、幅36センチ×45センチ、高さ25センチほど。プラスチック製のふたを二重にし、ガムテープで固定していた。箱の半分以上を占める量の水が入っていたが、手紙や絵などの文字はしっかりと読めそうだった。
濡れた品々を乾かすため、旧校舎内の音楽室にブルーシートを広げ、その上に置いていった。「何を入れたか覚えていない」と口をそろえる元在校生や教諭たちは、中身が気になって仕方がない様子。中身をすべて見てしまいたい気持ちをぐっと堪え、夏までの「お楽しみ」にとっておく。
前川さんは「カプセルが出てきてひと安心」と安堵しつつ、「夏までに干さないと。水が溜まってしまっていたことも水に流してほしい」と苦笑い。「ずっとブランコで遊んで、いたずらばっかりしていた子たちがこんなに大きくなって」と感慨深げだった。
ともに当時小学2年生で、現在は市内の企業で働いている稲井朝子さん(20)と西家佳音さん(20)。稲井さんは「無事に出てきて良かった。みんな見た目は変わっていたけれど、中身は変わっていなかった」と旧友や恩師らとの再会を喜んだ。西家さんは「音源が懐かしすぎた。カプセルが出てきた瞬間は感動した。早く中身を見たい」と笑顔だった。閉校当時にPTA会長だった西家幸男さん(50)は「祭りもなくなり、なかなか集まれていない中で良い機会になった。出会った瞬間に昔に戻れた。プチ同窓会」と笑っていた。