今年度、兵庫県丹波篠山市の新たな観光政策官として、東田芳博さん(57)が就任した。市が現状に即した観光施策の立案を行うため、観光事業に幅広い知識を持つ人材を確保する、国の企業人材派遣制度を活用した。株式会社「JTB」で国内仕入商品事業部や、総合企画部西日本エリア統括を担当してきた東田さんに、市の魅力や今後の展望を聞いた。
―市の観光の魅力は
新型コロナ禍の中で、各観光地が苦労している中、丹波篠山市はむしろ観光客が増加している。それだけさまざまな魅力があり、一定の認知も得ているということ。
私も各地に行ってきたけれど、これだけ日本の古き良き歴史・伝統が残り、その世界に入り込める土地は残っていないし、素晴らしい魅力がある。だからこそ、多くの人が訪れるようになっている。
―どのようにして観光振興を図る
丹波篠山が持つ観光素材は、アドベンチャーツーリズム(旅行者が地域独自の自然や文化を、地域の人と共に体験する旅行形態)など、コロナ禍の中で進む潮流と重なる部分が多い。このベースを関西圏にとどまらず、全国、海外へと発信していきたい。
また、2025年には関西・大阪万博があり、2700万人が訪れると言われている。万博だけでなく、丹波篠山にも足を延ばしてもらえるようにしていきたい。
まずは、「旅前」のところで丹波篠山を見つけてもらうこと、そして、「旅中」では、京都や大阪の後には丹波篠山というルートをつくり出すようPRしていく。
―宿泊が少ないなど滞在時間が短いことが市の観光の課題になっている
今ある宿泊施設に来ている人の中から連泊者を増やすことが重要。そのためには、「一日では丹波篠山を観光しきれない」と思ってもらえるような体験プログラムや、日中や夜の過ごし方を提案していく必要がある。
また、どこの観光地も繁忙期と閑散期があるため、閑散期の観光客をいかに増やしていくかも大切だ。
―丹波篠山とのつながりは
以前、バスツアーに添乗して来たことがある。その頃と比べると、今は若い観光客が増えているという印象を受ける。確実にターゲットは広がっていると思う。
魅力のある観光素材にストーリー性を持たせ、「旅心」を誘うような観光コンテンツをつくっていきたい。