有機で黒豆の価値向上へ
丹波篠山市殿町で、耕作されなくなった田んぼを活用し、ニシキゴイの養殖に取り組んできた成果を初めて披露する「鑑賞・即売会」を今年3月、2日間にわたって開催した。県内外から200人近くが来場。「ニシキゴイに関心のある人が多いことに感心しました」とほほえむ。
もともとは神戸市に住み、広告会社に勤務。週末、妻の出身地である丹波篠山市に行き、妻の親族の畑で黒豆栽培を手伝った。青空の下で働く楽しさを知り、枝豆のおいしさに感動。丹波篠山に移り住むことを決めた。
2009年に移住し、6年後に退職。佐用町で専業農家をしているいとこの家に1年間、住み込み、農業修業をした。その後、丹波篠山の農家で2年間、有機農業を学んだ。一方で京都府内の農家と共に、農業が直面している課題の解決に関わった。農業経営や流通システムを学び、商品開発に携わった。19年、「株式会社やがて」を設立した。
養鯉は同社の事業の一つで、ほかに水稲、栗、山の芋、食用バラ、ハーブ、養蜂など、手掛ける事業は多彩。なかでも主は黒豆で、殿町を中心に8ヘクタールの面積で事業を展開するなか、7ヘクタールが黒豆。そのうち昨年までに4・5ヘクタールが有機JASの認定を受けており、今年中には6・5ヘクタールに拡大する予定という。
黒豆を有機栽培するほか、丹波地域の農家が有機栽培した黒豆を買い取って共同出荷している。「丹波以外の地域でも丹波黒大豆が栽培されているなか、有機での栽培技術を確立して、その生産量を増やし、丹波には有機の黒豆もあることをアピールすれば丹波の黒豆のブランド価値がさらに高まると思う」。42歳。