深山幽谷で演武を 流祖修行の地を訪問 剣豪・淺山一傳斎の流派

2022.05.15
地域

型を披露する関さん=2022年5月3日午後2時33分、兵庫県丹波市氷上町香良で

深山幽谷の岩瀧寺(兵庫県丹波市氷上町香良)渓谷で修行し、淺山一傳流を開いたとされる剣豪・淺山一傳斎の流れをくむ古武道団体「淺山一傳会」がこのほど、同寺を訪れ、地元の香良自治会住民の案内で、岩窟内に祭られている本尊の不動明王に祈りをささげ、流祖に思いをはせた。同会は、同寺境内で他流派と共に演武をする構想を抱いており、同寺や同自治会の協力を得ながら実現を目指す。

同会によると、浅山一傳斎は天正年間の人。浅山一傳流は、剣、棒、柔、鎌、居合などの総合武術で、後の時代に各藩に伝承された。明治時代に制定された「警視庁流形」で、剣術と居合の中に浅山一傳流の形が採用された。

同会は「淺山一傳流兵法」と称し、茨城県に本部を、埼玉県春日部市に支部を置く。現在は22世の関展秀さん(49)が宗家を襲名している。2018年に、同寺境内で演武を披露したグループとは別の団体。

同会の広報、黒澤慧大さん(35)=春日部市=が、同自治会の杉原典之さん(54)とフェイスブックでつながり、京都市で同会が演武を披露する催しがあったことから、同会の6人が同寺まで足を延ばした。

同寺で、同自治会の杉原賢一会長(65)ら住民5人と淺山一傳斎に関する情報を交換。住民は、集落の入り口に顕彰碑があることや、同寺住職は数代前まで淺山姓だったことなどを紹介した。住民が見守る中、本尊の前で型を披露する趣向もあった。

関さんは「雰囲気がある場所で気持ちが良い。年に1度は訪れ、いつか演武ができれば」と笑顔。杉原会長は「流儀を保存し、受け継がれてこられたからこそ、今でも一傳斎の技が見られる。一傳斎を顕彰する、われわれの刺激にもなった」と話していた。

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