自然環境に配慮「まほろば水路」 生き物住みやすく 「共生する農村づくりを」

2022.05.26
地域自然

市が推奨する自然環境に配慮した「まほろば水路」。片側の側壁と底が土になっているタイプ=兵庫県丹波篠山市西本荘で

兵庫県丹波篠山市は今年度から、自然環境に配慮した工法を用いた水路「農都のまほろば水路」を推進しようと、西本荘地区でモデルとなる水路を整備。西本荘公民館前と整備現場でお披露目会を開いた。同市は、生き物がすみやすい従来の素掘り水路を推奨しているが、素掘り水路が営農や防災上、支障をきたす場合は、まほろば水路を推奨する。

水路の底や両側壁が全てコンクリート製の「U字溝」に対し、まほろば水路は、両側壁と底に穴が開いていたり、片側の側壁と底が土になっていたり、田んぼと水路をつなぐ設備「水田魚道」を設けたりして、生き物がすみやすい環境をつくる。

西本荘で整備した水路は、両側壁と底に穴が開いているタイプを約17メートル、片側の側壁と底が土になっているタイプを約22メートル、水田魚道を2カ所設置した。総事業費約364万円は全額、市が補助した。

西本荘での整備を受け持った西本荘、東本荘両地区でつくる「本荘地区農地・水・環境保全向上活動の会」の山田俊朗会長は「整備を機に生き物と共生する農村づくりを目指したい」と話していた。

また、お披露目会で城東保育園児が水路斜面にイブキジャコウソウ(シソ科)を記念植栽した。

まほろば水路は数年かけて、岩崎、西谷、今田町西部、福住東部の4組織でも整備される予定。

両側壁と底に穴が開いているタイプで、市職員の故・谷舗吉紀さんがメーカーと打ち合わせして丹波篠山市用にアレンジした「ヨシキモデル」

◆「ヨシキモデル」 物故職員の名刻む

丹波篠山市は、西本荘地区で整備された「農都のまほろば水路」のうち、両側壁と底に穴が開いたタイプを「ヨシキモデル」と名付けた。今年2月、43歳で亡くなった市農都整備課の谷舗吉紀係長にちなんだ。

谷舗さんは、このタイプの水路を、同市に多い水路幅に合わせようと、メーカーの既存商品から底を約10センチ、開口部を約55センチ狭くしたタイプをメーカーと打ち合わせして製作したという。

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