東京シャンソンでGP 楽器店勤務の松岡美穂さん 「恩返しに良さ広めたい」

2022.06.08
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東京シャンソンコンクールの日本語歌唱部門でグランプリに輝いた松岡さん=2022年5月18日午前11時58分、兵庫県丹波篠山市立町で

兵庫県丹波篠山市立町の木下楽器でエレクトーンなどの講師を務め、シンガーや司会としても活動している松岡美穂さん(47)=同県西宮市=が、このほど東京都で行われた「第9回東京シャンソンコンクール」(日仏文化サロン主催)に初出場し、日本語歌唱部門で最優秀のグランプリに輝いた。幼少期から同店に通って音楽を学び、今では同店で講師をしたり、コンサートを開いたりするほか、デカンショ祭などの司会も務めており、「丹波篠山に育ててもらっている」と話す松岡さん。受賞を喜びつつ、「恩返しとして、シャンソンの良さを幅広い世代の方に伝えていけたら」とほほ笑んでいる。

コンクールには、音源による予備審査を通過した全国各地の約40人が出場。松岡さんは、フランスのシャンソン歌手・バルバラが歌った「リヨン駅」を日本語で歌った。

主人公がリヨン駅からイタリアのカプリ島に旅立つ内容の歌詞。「主人公はたぶん同年代の女性。思いに共感して曲の世界に入り込むことができた」(松岡さん)と、情景が伝わるように、情感たっぷりに歌い上げ、途中では歌詞を旋律に乗せずに「語る」など、自分なりの表現を披露した。

審査員からは、「ストレートに自分なりの個性を出していた」と評価されたという。また、来場していた人から、「カプリ島が見えました」と称賛され、「自分の歌い方で情景が伝わったんだと、とてもうれしかった」と喜んだ。

幼い頃から音楽に関心を持ち、小学1年生から同店の教室に入り、高校卒業まで通い続けた。卒業後はエレクトーン講師になろうとヤマハ音楽院で学び、在学中から同店で講師を務めた。現在もエレクトーンのほか、ピアノ、カラオケ、ボイストレーニングとさまざまなコースを指導している。

30代になり、違ったジャンルを体験したいと、「声」の世界へ。アナウンサー養成所で学び、冠婚葬祭やイベントなどの司会業を始めた。縁あってデカンショ祭の司会も担当してきたほか、市のインターネットテレビ「まるいのTV」でも進行役を担っている。

また、大好きだったジャズを歌おうと甲陽音楽学院で歌唱技術を学び、ジャズシンガーとしても活躍。バイタリティーあふれる活動に、「一度始めようと思ったらとことん突き詰めたい性格で」と笑う。

シャンソンとは2016年、丹波篠山市内のシャンソン教室でレッスンピアニストを務めたのが出合い。情景や感情が伝わりやすい歌詞と、メッセージ性の高さに衝撃を受けた。

その後、シャンソン歌手の菅尾玲子さんに師事。技術を磨く中で、自分のレベルや、全国にはどんな歌い手がいるのかを知ろうと、たまたまインターネットで見つけた東京シャンソンコンクールに応募した。

学び始めてから短期間でのグランプリに、「驚いたけれど、自分なりに考えてきた表現の仕方や、歌の途中で語りを入れるなど、これまでの活動が全部入った歌い方をしたことで、今までの自分が報われたような気がした」とにっこり。今後は自身のコンサートの中でも積極的にシャンソンを取り入れていくと言い、「シャンソンが好きな人にも聞いたことがない人にも、その良さを伝えられたら」と前を向いている。

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