体の美しさやスタイルのバランスなどを競う健康美コンテスト「ベストボディ・ジャパン」の神戸大会がこのほど兵庫県神戸市であり、細マッチョ「モデルジャパン」部門で、同県丹波市春日町の自営業、杉本隆康さん(81)が、「レジェンドクラス」(60歳以上)で5位入賞した。67歳でがんを患い、一日でも長く生きたい思いでジムに通い13年、「同年代の人に少しでも勇気と希望を与えたい」と初挑戦した大会で、結果を残した。11月23日、両国国技館で開かれる日本大会へ出場する。
レジェンドクラスは60歳以上で、上は年齢無制限。同コンテストのウェブサイトによると、今年度の地方大会(現時点で22会場)にエントリーしている80代は、杉本さん一人で、最高齢。
神戸大会に出場した6人のうち、杉本さんの他は全員60代。入賞は5位まで。「胸の大きな人ばかり。アカンと思った。名前を呼ばれてびっくりした。色んな人に祝福され、自分なりに達成感がある」とほほ笑む。
滑らかにポーズが取れなければまずいと、大会前に「フリーポーズ」の動きを固めた。ポージングのほか、表情や歩く姿勢など、舞台上の立ち振る舞いも審査に含まれるため、大会出場を勧めたナレオフィットネスクラブ(同県西脇市)の寺川雅佳代表(62)と、公共施設のホールを借り、入念にリハーサルをし、本番に臨んだ。
「せっかくトレーニングしているんだから、大会に出てみては。うまくすれば入賞できるんじゃないか」。昨年末に寺川さんに誘われた際は、「こんな体でいいのか」と考えたが、子どもたちの後押しもあり、出場を決めた。162センチで54キロと、太りにくい体質。タンパク質を多く取り、筋肉を増やし1・5キロの増量に成功した。
全国の地方大会を勝ち抜いた人が集う日本大会は「出場することに意義がある」と結果は求めないが、「やるからには納得がいくように仕上げたい。胸と腕にもっと筋肉をつけたい」と瞳を輝かせる。
若い頃から痩せていて、虚弱体質気味。67歳の時に健診で胃がんが見つかり、死を強く意識した。「60代で死ぬことが悔しく、なんとしても80歳まで生きたい」との思いで治療に励んだ。幸い早期発見で、完治。1年の養生を経て、68歳から体力づくりのために丹波市のPSK柏原へ。週5ペースでトレーニングに通った。いつしか、トレーニングが長生きするための「手段」でなく、生きていく「楽しみ」に変わった。
若い世代から刺激を受けたいと、30―50代の利用者が多い、ナレオに1年前から通い始めた。ウエイトトレーニングに取り組んでおり、現在はPSKとナレオを週2日ずつ。土曜は午前がPSK、午後がナレオだ。
「若い人を見ていると、自分も、もう少し、もうちょっとと無理をして、あちこちが痛くなる」と笑った。
体の大きな選手が勝つボディービル大会とは異なり、同部門は健康的で美しくスリムに引き締まった体が評価される。