兵庫県丹波市青垣町神楽地区で田舎暮らし体験をした神戸市の男性が、同地区への恩返しにと同地区を舞台にした青春小説「ハート山の青春譜―丹波・神楽からの風」を出版した。父の転勤で小中学校を同地区で過ごした東京に住む女性が幼なじみと結ばれ、同地区で生活を始める物語。
薬剤師で、介護施設などを運営する播本高志さん(79)。2014年に同地区自治振興会が移住者を呼び込もうと運営していた田舎暮らし体験古民家「かじかの郷」を利用。美しい農村景観と温かく迎えてくれた住民らに愛着が湧き、同地区愛が芽生えた。真剣に移住を検討し、同自治振興会に「空き家バンク」の設立を提案するなど貢献したが、高齢を理由に断念せざるを得なかった。
しかし、「本なら書ける」と執筆し、本の中で主人公を移住させた。中でも針葉樹林の伐採跡がハート型に見え、地元で「ハート山」と呼ばれる山が気に入り、タイトルに付けた。「ハート山」は、3カ月利用した古民家から目の前に見えた。
「神楽村のPRも兼ねている」と播本さん。クリンソウ、バイカモ、ホタル、加古川の源流などの自然、高源寺、常瀧寺の大イチョウなどの名所を、カラー写真と共に紹介している。
同自治振興会の役員に数度、意見を聞き、物語中の歴史的エピソードの記述を固めたほか、掲載写真も同自治振興会に提供してもらった。
播本さんは、「新型コロナでテレワークも盛んになってきた。田舎ブランドをもっと発信し、神楽が発展していけば。これで、私の御奉公ができました」とほほ笑んだ。
amazon会員は、Kindle Unlimitedで読み放題。電子書籍500円。本は1430円。
問い合わせは神楽自治振興会(0795・87・5808)。