兵庫県丹波市柏原町の柏原加工紙株式会社の敷地内に植えられているソテツが、珍しいとされる花を咲かせた。50年ほど前、事務所建設の際に植栽したもので、花を咲かせたのは約30年ぶりという。
花は雄花で、高さ約40センチ、直径約10センチで黄褐色。マツボックリを長く引き伸ばしたような姿をした紡錐形で、少し甘い香りを放っている。
もともとこの場所には、高さ2メートルほどのソテツが根元から数本株分かれして生えていたが、今月初め、事務所の改築工事に入り、邪魔になったため伐採した。しかし、そのうちの背の低い幹(高さ約70センチ、直径約25センチ)の先端には、先月下旬から白いドーム状のつぼみが出現していたため、「どんな花が咲くのだろう」と切らずに残していた。
矢本雅則社長(71)は、「花が咲くのは珍しいことだと聞き、なんとも縁起がいい。これから新しい事務所が完成して、心機一転、新しいスタートを切るにふさわしい出来事」と喜んでいる。
県立人と自然の博物館(三田市)によると、ソテツは雌雄異株。開花には最短でも20年近くかかり、長いものだと40―50年も花を咲かせない個体もある。雄花は1カ月ほどかけて長さ60―100センチほどに成長するという。