落語家に弟子入り 地域の歴史「小話」に 桂歌之助さん指導

2022.07.06
地域

高座で小話を披露する児童と、見守る桂歌之助さん=兵庫県丹波篠山市京町で

兵庫県丹波篠山市立八上小学校の6年生(14人)が、地域の歴史を小話にして全校児童や保護者に披露しようと、地域に住む落語家に“弟子入り”した。児童たちがこのほど、落語家の桂歌之助さん(京町)宅を初めて訪れ、歌之助さんの落語を聞いたり、小話を練習したりした。今後、児童たちが地域の歴史を調べて小話をつくり、歌之助さんが5回ほどにわたって指導する。卒業前の来年2月か3月に保護者や全校児童の前で披露する計画。

歌之助さんは2020年秋に住宅を購入し、自身で改装。昨年9月にスパイスカレー店「ルーとこめ」をオープンした。

店内にある高座で、まず歌之助さんが落語の基本を伝授。落語家の必需品、扇子を使って刀に見立てたり、うどんを食べる箸に見立てたりし、児童たちを感心させていた。児童たちはうどんを食べる様子を練習。歌之助さんは「舌を上あごに付けて息を吸うときに震わせてみて」と、うどんをすする音の立て方を教えていた。

歌之助さんは「ハトがなんか落としていったなあ」「ふーん」や、「隣の家に囲いができたな」「へー」などの小話も披露し、「小話は言葉の音が一緒だが、意味が違う」などと分かりやすく教えた。

また、父親が子どもを寝かしつけようと桃太郎の話をしたが、子どもの物語の説明に逆に父親が寝入ってしまったという落語「桃太郎」を披露。児童たちは落語の醍醐味を味わった。

児童たちも小話に挑戦。どんな木や花もあるという植木屋で、客が花に名前を聞くと、花が名前を答える。だが、ある花だけは答えず、それはクチナシ(口無し)だったという落語「くちなし」を覚え、何人かが高座に上がって披露した。披露した平野愛奈さんは「高座に上がって緊張した。演技を勉強して、本番ではうまく披露したい」と意気込んでいた。

地域の歴史を学ぶ総合学習で、地元に落語家が住んでいることを知り、授業を依頼した。歌之助さんによると、1日体験を受け入れたことはあったが、年間を通しての依頼は初めて。「小話はその人になりきることができる面白い体験。子どものアイデアが楽しみ」と期待していた。

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