「王者」の進化に迫る ティラノサウルスの夏季特別展 迫力満点の全身骨格も

2022.08.21
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タルボサウルスの全身骨格などが展示された特別展=兵庫県丹波市山南町谷川で

兵庫県丹波市山南町の「丹波竜化石工房ちーたんの館」で夏期特別展「ティラノサウルス一族の進化―恐竜の王者が君臨するまで」が開かれている。同一族のタルボサウルスの全身骨格や、2009年に同町上滝の前期白亜紀(約1億1000万年前)の地層「篠山層群大山下層」から見つかったティラノサウルスの前歯のレプリカなどを展示。アジアに出現した初期は小さく弱者だったティラノサウルス一族が北米へと生息域を広げ、「恐竜の王者」に君臨するまでの進化を紹介している。9月4日まで。

約6850―6550万年前の北米にいた史上最大級の獣脚類「ティラノサウルス・レックス」は、全長12―13㍍で、強大な顎に太く頑丈な歯が並び、陸上における食物連鎖の頂点に君臨。一族は約1億年もの間、繁栄した。しかし、1億6700万年前(中期ジュラ紀)の登場初期の同一族は、人間くらいの体格で、他の大型肉食恐竜の影におびえながらくらしていたという。

篠山層群から発見された同一族は、中国で見つかった中型のティラノサウルス類「シオングアンロン」に近縁であるとされる。シオングアンロンは、同一族進化の中間的な存在と考えられており、展示会場には、その仲間のグアンロン(体長約3メートル)、ディロン(1・6―2メートル)と背比べができるボードを設置している。

展示のメインは、全長約10メートル、実物大のタルボサウルスの全身骨格。獲物を狙うような低い姿勢で形づくられ、迫力ある姿が来場者の興味を誘っている。タルボサウルスは、後期白亜紀(約7400―7000万年前)の終わりにモンゴルと中国に生息していたティラノサウルスの一族。

同一族がなぜ、「巨大な暴君」と言われるほどの巨体を手に入れたのか、の理由として、ティラノサウルスの餌となるトリケラトプス(角竜類、体長8メートル)やエドモントサウルス(鳥脚類、体長15メートル)などが食べられないように大きく、強く進化しようとするのに対して、負けじと進化したため、などと解説している。

午前10時―午後5時。期間中は無休。入館料は大人210円、小中学生100円。

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