「へこたれない心育んで」
道場を開いてわずか1年で道場生を全国選手権3位(形の部)へと導き、高い指導力を発揮している。また、道場館長の肩書以外に塾経営者という顔も持ち合わせ、まさに文武両道。「武道も勉強も、目標を持って取り組むことが大切。子どもたちには、いっぱい負けて、失敗して、挫折も味わってほしい。でもそのたびに、どうすればもう一度前を向けるのか、頑張れるのかを考え、へこたれない心を育んでほしい」と優しいまなざしを向ける。
昨年6月、「希士館」の看板を掲げた。現在4―12歳の14人が元気いっぱいに通っている。「なにより礼節に重きを置いて指導しています。強くなることは優しくなること。手にした力をひけらかさない」と口酸っぱく伝えている。
8歳の時に母親の勧めで空手を始めた。神戸大学に通っていた20歳の時、近畿国体3位(組手の部)の成績を残すも、「私は頭でっかち。相手を事細かく分析する癖があり、考え過ぎて負けてしまうことが多かった」と、プレイヤーよりも指導者タイプと当時から自覚していた。長年指導を受けてきた師匠からの言葉「お前は指導者に向いているから、道場を立ち上げたらどうか。教え子の成長を見られるのも価値ある人生だ」が、背中を押した。ただ、道場経営だけでは生活していく上で「心もとない」と、西宮で有名進学塾の講師をしていた経験を生かし、今年2月に塾も開いた。
「将来は多くの道場生を連れて全国大会へ行きたい。子どもたちの人生の大切な時期を預かっているので、空手をやってて良かった、と振り返ってもらえる道場にしていきたい」と抱負。28歳。