兵庫丹波の秋の味覚、黒枝豆の販売が本格的に始まり、同県丹波市内は多くの買い物客でにぎわっている。8―10日の3連休は、天候にはさほど恵まれなかったが、同市の玄関口、道の駅「丹波おばあちゃんの里」では、物産館の外に設けた黒枝豆の特設販売テントに、朝9時の開店前から長い行列ができた。約200メートルの列ができた日もあったほか、取れたての新米や、丹波栗の焼き栗にも多くの買い物客が並び、丹波の秋の特産が高い人気を誇った。
同施設は、黒枝豆を物産館横の特設テントで販売。3連休は開店前、商品を山盛りに積んだ50箱を棚に並べたが、お土産用として特に人気が高い枝付きは、いずれの日も開始5分ほどで完売した。さやのみの商品もほとんど売れ、早々に店内での販売に切り替えた。
同施設の経営管理室総務企画係長、早形敏樹さんによると、生育遅れにより入荷量は前年同期の50%ほどだった一方で、3連休の客数は2割ほど伸びたという。「7月ごろから、早生品種の黒枝豆を売ったり、各種メディアへの露出を増やしたりしたことで、『ここに来れば買える』という認識を持ってもらえたのでは」と手応えを感じている。
大阪市から栗と枝豆を買いに来た女性(69)は、「(兵庫県)丹波篠山市の方が家から近いけれど、(黒枝豆は)人が多くて買えなかったことがあった。少し足を延ばせば丹波市で買えるし、味もおいしい」と笑顔。「栗も毎年買いに来ている。知り合いにもあげる」と話していた。
今月から黒枝豆の販売を始めたJA丹波ひかみの「とれたて野菜直売所」も、多くの客で賑わった。「出荷のピークはこれから」と捉えており、中旬から下旬にかけて客数、販売量ともにさらなる伸びを期待している。
市内の施設「かどのの郷」は、3連休に合わせてイベント「収穫祭」を開き、黒枝豆の販売を始めた。黒枝豆を探し回ってたどり着いたという人もいたという。同施設は「コロナ禍の前以来、3年ぶりににぎわった印象」とする。
野菜などを販売する「ひかみ四季菜館」では、「どの施設も黒枝豆をPRしているし、うちも客数は戻ってきている印象。今後、黒枝豆の出荷が増えると聞いているので、これからが本番」と、書き入れ時に気合を入れている。