本堂に彫刻”林立” 地元出身作家がお寺で個展 等身大の裸婦像など16点

2022.11.06
地域

円通寺の本堂で個展を開いている彫刻家の吉居さん=2022年10月30日午前9時5分、兵庫県丹波市氷上町御油で

兵庫県丹波市氷上町出身で、滋賀県長浜市在住の彫刻家、吉居寛子さん(61)=旧姓・足立=が30日まで、円通寺(同町御油)で個展を開いている。仏像が安置された本堂に、樹脂や石こうで作られた等身大の裸婦像など16点を展示。厳かな雰囲気が漂う空間に具象彫刻が“林立”しており、異彩を放っている。「お寺は天井が高く圧迫感がないので、彫刻展示にはもってこい。『祈り』をテーマにした作品も多いので、この場所に合致するのでは」とほほ笑む吉居さん。「立体作品なので、いろんな角度から作品を眺めて楽しんでもらえたら」と来場を呼び掛けている。

日展会員、日本彫刻会会員で、両会の審査員も経験した。

出展作品の「まなざし」は、座り込んだわが子に優しい表情で手を差し伸べる情景を表した母子像で、2007年に長浜市に設置された戦没者慰霊碑となっている。

フルートを吹く女性を表現した作品「レクイエム」には、東日本大震災の被災者への鎮魂の思いを込めた。

薄い布をまとった裸婦の美しさと、人肌と布地の質感を表現するため、石こうの白さを生かして制作した「wish」シリーズなども展示されている。

彫刻を身近に感じてもらいたいと、吉居さんが会場にいるときは、作品に触れることができる。開場は午前8時半―午後4時半。吉居さんは、11、25日午後と、12、13、26、27日午前に会場にいる。

柏原高校、滋賀大学教育学部を卒業。一昨年、長浜北高校教諭を定年退職し、現在は同校の非常勤講師を務める。

高校時代は美術部に所属し、顧問だった関口寛治教諭から美大受験科目のデッサンや彫刻の指導を受けた。大学生だった1982年、日彫展に初入選したのを皮切りに、以後、高校の美術教諭として勤めながら、同展で4度の入賞、日展には2度の特選に輝いた。

09年、柏原高校同窓会の卒業30周年に、恩師らに贈る記念品のレリーフを手掛けた。20年には、水墨画を趣味としていた亡き父・俊護さんとの父子2人展を植野記念美術館で開催している。

期間中、同寺では丹波もみじめぐり、歴代住職遺墨展が開催されているほか、13日はもみじまつり、13―23日には寺宝展が予定されている。

入山料として300円が必要。

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