兵庫県丹波篠山市の小学5年生、菅原柊太君(11)が、スーパーで買ったウズラの卵のふ化に挑戦。2度目でふ化した2羽のひながすくすくと育っている。インターネットでふ化できることを知り、家族の協力も得ながら命の誕生を見守った菅原君。「ピヨピヨと鳴くのがかわいい」と愛情たっぷりにほほ笑み、「生まれた時は涙が出そうなほどうれしかった。かえした以上、責任を持って最後まで育てたい」と目を細めている。
犬をはじめ、金魚やカメ、インコ、ヤドカリ、ニジイロクワガタの幼虫と、たくさんの生き物に囲まれて過ごす菅原君。インターネットの動画でウズラの卵がふ化できることを知り、生き物好きの心に火が付いた。
8月下旬に近くのスーパーで卵20個を購入。中古のふ卵器や保温ライトなどもそろえて準備万端、ふ化を待った。
5日目。20個のうちの2個に、光を当てると血管のようなものが見え、ふ化の兆候がみられたものの失敗。土に埋め、丁重に葬った。
10月に入って再挑戦。20個のうち7個に兆候がみられ、計7羽のふ化に成功した。ウズラは雌雄の判別が難しく、有精卵が交じることがある。市販の卵がふ化する確率は「100分の1」「20分の1」などさまざま言われるが、いずれにしても20分の7は高確率だ。
残念ながら5羽は成長できなかったが、2羽は無事に大きくなった。生まれた直後、3センチほどだった体長は、今では倍ほどに成長した。
誕生時には家族を部屋から追い出し、「自分がお母さん」と刷り込むほどのこだわりよう。専用の餌を与え、センサー付きの装置で温度管理し、夜は眠りやすいよう、飼育ケースにタオルを巻いて暗くするなど、手塩に掛けている。
ピヨピヨと愛らしい声で鳴くひなは、ジャンプしたり、羽をはばたかせたりと、元気いっぱい。まだ雌雄の判別がつかないため、「ウズリちゃん」と「ウズちゃん」という”仮名”を付けている。
生き物が好きな理由は、「お姉ちゃんがいるけれど、下にはいないので、生き物たちが弟や妹」とにっこり。「体調管理に気を付けて、元気にかわいく育ってくれたら」とひなに優しいまなざしを向ける。
母の文さん(50)は、「最初は命の無駄使いになるかもしれないと思っていたけれど、本人が最後まで育てるという固い意思を持っていた」と振り返り、「スーパーで売っているものがただの食べ物ではなく、命を頂いているということ、命の誕生について考えるきっかけにしてくれたら」と期待している。