丹波立杭陶磁器協同組合坏土工場長 原田清さん(丹波篠山市)

2022.11.27
たんばのひと

原田清さん

丹波焼の陶土作り30年

丹波焼の陶土を作り続けて30年。850年以上の歴史を持ち、日本六古窯の一つとして日本遺産にも認定された丹波焼を土台で支えている。

陶土を作る坏土工場は1963年、丹波立杭陶磁器協同組合の前身が設立。現在、年間約150トンを生産し、50軒ある窯元に供給している。

家業の畳職人をしていた43歳の時、友人の窯元から「坏土工場が人手不足。手伝ってもらえないか」と相談を受けた。当時、工場は操業を始めて30年、60歳代の男性が1人で働いていた。「ザ職人という人」で、仕事は文字通り盗んで覚えた。1年後、先輩男性が辞めてしまったため、原田さんは1人で切り盛りすることとなった。

陶土は、三田市四ツ辻で産出する「原土」と、丹波篠山市弁天の田んぼの底から採れる「奥土」を概ね10対3の割合で混ぜ合わせる。耐火性はあるが粘りが少ない原土に粘りを持たせるため奥土を添加するが、その量が多過ぎると高温に耐えられなくなり、焼成時の割れにつながる。「土は自然の物。採取した深さや場所で品質が異なる。色味や手触りでそれらを見極め、配合比を調整していくわけやけど、これがなかなか難しい。まさに勘仕事。大変やけれども、ここが丹波焼の始まりだ、という自負を持って働いている」

3年前、弟子ができた。当時29歳だった前中郁人さん(三田市)が工場の門をたたいた。「仕事は見て覚えや」とぶっきらぼうに言いつけ始まった二人三脚の勤務も、前中さんの真面目な仕事ぶりに、今では「安心して任せられる存在」とにっこり。「72歳になったが、体が動くうちはきばりますわ」と豪快に笑った。

関連記事