共にボクシングエクササイズ歴約10年の後期高齢者の男性2人が13日、兵庫県丹波市の青垣住民センターで行われるアマチュアジムの交流大会で、寸止めでパンチを打ち合う「マスボクシング」を披露する。西日本から集まる選手約140人に、運動によって維持している「老いても動ける体」を見せる。
杉本隆康さん(81)=同市春日町、1メートル62センチ、54・5キロ、左利き=と、細見豊さん(78)=同市氷上町、1メートル65センチ、58キロ、右利き=。2人は、PSK(同市柏原町)のジムで、丹波入江ボクシングジム(同市青垣町)を主宰する元プロボクサーの入江潤さん(54)の指導を受け、細見さんは週3回、杉本さんは週2回、体を鍛えている。
2人は、ミット打ち、マスボクシングなど、ボクシングジムの選手のような練習をしている。真摯にハードな練習に耐えている2人に敬意を抱いている入江さんが、一般人は上がれない、正式なリングに上がる「晴れ舞台」を用意した。1ラウンド2分、2ラウンド戦う。10オンスか12オンスの通常のグローブ、ボクシングトランクスを着け、リングアナウンサーのコールと、公式戦さながらの形でエキシビジョンを行う。
杉本さんは、67歳で胃がんが見つかり完治した後、長生きするために体を鍛えようと、ジムに通っている。今夏、健康美コンテスト「ベストボディ・ジャパン神戸大会」の細マッチョ「モデル部門」レジェンドクラス(60歳以上)で5位入賞。23日に両国国技館で全国大会が控えている。
「神戸大会で人前に出てもあがらなかったので、今回もいけるんじゃないか」と自信をのぞかせ、「観衆に、かっこ良い姿を見せたい」と張り切る。
細見さんは、月3、4回コースを回るゴルフ愛好家で、「ゴルフのために鍛えている」。体が絞れ、足の筋肉も増した。「(ドライバーの)距離が出ているから、役に立っているんだろう」と言い、「普段通りやる。2ラウンドではなく、真剣勝負で4、5ラウンドやりたいくらい」と余裕綽々。
入江さんは「あの年齢であれだけボクシングの動きができる2人の姿は選手の刺激、参考になる。熱くなり、接近し過ぎてパンチを当てないように気を付けて、楽しんでもらえたら」とエールを送る。
大会「ボクシングショー」は、近畿のほか、佐賀、高知、愛媛など10以上の府県のジムが参加。小学生―50代くらいの選手が出場する。
●マスボクシング● 寸止めのボクシング。攻撃や守備の感覚を養う実戦に近い練習法。パンチを当てないため、生涯スポーツとして普及させようと、2021年、日本ボクシング連盟が正式競技化。全日本大会も開かれている。それ以前から、日本キッズボクシング協会が、ヒット・マスボクシングとして競技化し、大会を開いている。