福祉関係に携わる各分野の専門家が職域を超えてつながりを持ち、支援を必要としている人たちを重層的に受け止められる体制づくりを進めようと、「横につながる交流会」(実行委員会主催、世話人=大槻真也さん)が2日、兵庫県丹波市の柏原住民センターで開かれた。2回目の今回は、こども食堂や認知症カフェを開いたり、高齢者、若者、障がい者らの支援を行ったりしている事業所や行政機関から約45人が出席。参加者たちは、日々の仕事や活動を通じて感じていることや課題などを出し合い、互いのつながりを深めたほか、多岐にわたる困り事に対応する弁護士の講演に耳を傾けた。
交流タイムは、1対1の対面形式で実施。3分間のローテーションで行った。参加者たちは名刺交換をしながら互いの仕事内容や課題に感じていることなどを伝え合った。閉会した後も多くの参加者が熱っぽく話し合っていた。
同市青垣町文室の児童養護施設「睦の家」の職員、佐々木智さん(35)は、「子どもたちの成長発達・自律支援などに取り組んでいるが、スムーズにいくことばかりではない。家庭に戻ったり、就職したりと、施設を出た後の見守りも大切。『このケースはこの分野の専門家の担当』と決めてしまうのではなく、いろんな分野の専門家が連携し、さらには地域全体で手を差し伸べることでより良い結果につながっていくと思う」と言い、「さまざまな施設や行政の方と顔を合わせて、どういう仕事をどういう思いでされているのかを知れて良かった」と話していた。
講演会では、丹有法律事務所(同市柏原町柏原)の所長で弁護士の馬場民生さん(50)が、「弁護士は見た!寄せられる相談から見えてくる地域の課題」と題し、地域で多い相談事例を紹介した。
田舎に根強い家父長制が、ドメスティックバイオレンス(DV)事件に発展している事案を紹介。「俺が家長だ」という発想が根底にある夫の、妻や子どもへの暴力暴言は激しく、反省もしなければ、DVを認めもせず、いざ別居すると、「子どものためだ」と妻に子どもとの面会を執拗に求めてくるという。「長男の親権だけよこせ」と言ってくる事例もあるという。「本音は家を継がせたいがためだ。このような家庭では妻が正社員でバリバリ働くというわけにもいかず、良くてもパート。収入不安があってなかなか別居もできず、我慢するしかないという、深刻な状況に陥ってしまう」などと問題提起した。