「駅に恩返しを」―。兵庫県丹波市山南町の矢村冬子さん(87)がこのほど、JR福知山線の谷川駅の待合所のベンチに敷く手編みの座布団20枚を寄贈した。何十年も前に地元の人が駅に贈った布製の座布団は劣化が激しく、矢村さんは「自分の子どもも通学で使った駅。何か恩返しがしたい」と、半年ほど前から製作に取り掛かっていた。
長年、手芸を趣味にしている。屋外の駅舎ベンチに敷くことを想定し、丈夫な毛糸を選んだという。薄いベージュに緑と、紫の三角柄が入った2種類を製作。待合所のベンチには交互に敷いてひもでくくった。
矢村さんは、同駅を管轄する同線篠山口駅の東村善夫駅長に座布団を手渡し、東村駅長からは感謝状が贈られた。
矢村さんは、「手先を動かすのは老化を防ぐと聞くし、編むこと自体は好きなので楽しいばかり。これから寒くなるので、皆さんに座ってもらえたらうれしい」と笑顔で話していた。
東村駅長は、「ローカル線ならではの、地域の人の温かい心遣いと感謝している。座布団があるだけで、利用者は一息つける」と喜んでいた。