ミミズが生ごみ分解 竹使い「コンポスト」製作 ふんは堆肥に活用も

2022.12.19
地域

ミミズコンポストを製作するワークショップの参加者たち=兵庫県丹波篠山市後川新田で

生ごみをミミズに食べさせて分解し、ふんを堆肥化する処理容器「ミミズコンポスト」を製作するワークショップがこのほど、兵庫県丹波篠山市後川新田であった。ミミズコンポストの普及に取り組む福井県大野市の地域おこし協力隊員、三浦紋人(もんど)さん(28)の主催で、丹波篠山市内外から約10人が参加。同市内の放置竹林から切り出した竹材を活用し、地域資源の有効な循環が可能となる同コンポストの仕組みについて学んだ。

丹波篠山市地域おこし協力隊員で、竹の活用を研究する阪下竜喜(りゅうき)さん(23)が協力。地域で“厄介者”と言われる竹を使うことで、竹の持つ可能性の幅を広げ、地域課題の解決について楽しく学ぶ機会になればと開催した。

製作したコンポストは、幅180センチ、高さ100センチ、奥行き60センチほど。三浦さんが設計した。枠組みにはスギ材を使用。表面にはデザイン性の観点から竹を装飾し、麻ひもで固定。竹の隙間には漆喰を塗った。内部に網目の細かいハエ除けネットを張り、下部にはスライド式の扉を取り付け、堆肥となるふんを取り出せるようにした。

完成したミミズコンポスト

コンポスト内には腐葉土を敷き詰め、三浦さんが繁殖させた約1200匹のミミズを入れ、生ごみを食べさせる。酸素を好む好気性生物が増殖することでアンモニアの発生を抑え、ミミズのふんの脱臭効果により、異臭は発生しない。三浦さんは「落ち葉の匂い」と表現する。また、ミミズは「石灰線」という器官から炭酸カルシウム(アルカリ性)を分泌しているため、ふんは作物栽培に適した弱酸性の土壌への改善にも役立つとされる。

三浦さんは「ミミズをペットとして飼うイメージ。欧米では、コンポストを集落単位や集合住宅に置くのが主流になっている。ネガティブなイメージの強いごみ捨てが、コミュニティー再生のきっかけになる」と語る。

阪下さんは「2つ目のコンポストを作る機会があれば、全てを竹で作りたい。竹の見え方が変わり、竹林整備に興味を持ってもらうきっかけになるのでは」と話した。

ワークショップに参加した野俣智子さん(神戸市)は「メンマにするなど、持て余している竹の有効利用を考える中で、新しい使い方だと感じた」と感心していた。

製作した同コンポストは、後川新田で年明けに開業予定の、キャンプ向け食材セットを製造する工場の生ごみ処理用に設置した。

同工場はクリエイターの支援事業などを手掛ける会社「Wano」(東京都)が営む。芦屋市から丹波篠山市に移住予定で、ミシュラン2つ星に輝いた名店「京料理たか木」(芦屋市)のオーナーシェフ・高木一雄さん(50)が監修する。

同社員や高木さんらが生ごみ処理について思案する中、工場の設計を手掛ける1級建築士の才本謙二さん(丹波篠山市)が、大学の後輩に当たる三浦さんが普及している同コンポストの設置を提案。高木さんが「里山の自然を活用するという商品のコンセプトに合う」と賛同した。

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