祈りと絶叫捧げる 「鉤」掛けて災難逃れ 山の神祭事

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山の神の祠に玉串を供え、今年一年の無病息災などを祈る住民=2023年1月8日午前8時57分、兵庫県丹波市春日町多利で

兵庫県丹波市春日町多利自治会(185戸)が8日、同集落の日ヶ奥渓谷にある山の神を祭った祠で例祭を営んだ。村内の安全や山の恵みなどに感謝する神事で、毎年、1月9日前後の日曜日に営んでいる。集落の住民約20人が参集。二股に分かれた木の枝を「レ」の字形に加工した「鉤(かぎ)」を供物としてささげる奇妙な風習が伝わる神事としても知られ、住民たちは各自、祠に鉤を供えてから祭事に臨んだ。小雨の降る中、森に響く祝詞(のりと)に耳を澄ませ、祠に玉串を供えるなどして、今年一年の無病息災などを祈った。神事を終えると恒例の大声コンテストを実施し、にぎやかな声を渓谷に轟かせた。

鉤は、同自治会組織の一つで区有林管理を担う林務部(9人)が年末にこしらえた。「大きさに決まりはない」が、長辺30センチ、短辺15センチ内外。木の種類は問わない。

神事を執り行ったのは、近くの阿陀岡神社の藤田恒禰宜(60)。住民たちは、新調したヒノキ製の鳥居に一礼してくぐると、その脇に用意された鉤を手に、祠へと続く石段を上がった。全員が祠の手前に備えた物干し竿のような横木に鉤を引っ掛け終えると神事が始まった。鉤を引っ掛ける理由は、災難逃れのまじないとされている。

藤田禰宜が祝詞を奏上し、住民が一人ひとり、祠に玉串を供え、かしわ手を打って祈りをささげた。高見克彦自治会長(66)は、「今年も一年、村が災害に見舞われることなく、平穏無事でありますように」と願っていた。

鉤を横木に引っ掛けてから祠へと向かう住民

藤田禰宜によると、山の神の祠が祭られたのは1972年ごろといい、祭事はこの頃から始まったという。

「鉤を横木に掛ける風習が、いつ頃から始まったのか不明」と話すのは藤田禰宜の父で宮司の謦司(けいし)さん。同宮司によると、その昔、村人が山仕事で山に分け入る際、鉤状の木(杖)を持ち歩き、足を滑らすなどしたときに、とっさに立木に引っ掛けて、滑落を防いだと伝わる。それがいつしか、山で遭難しそうになったときに、山の神が鉤で引っ掛けて助けてくれるという言い伝えに変わったという。

神事の後、催された大声コンテストで絶叫する住民

神事を終えると、厳かだった雰囲気はがらりと変わり、鳥居の前で4回目となる大声コンテストが催された。住民の親睦や交流を狙い、同集落の地域活性化グループ「ふぉれすと」が企画。住民たちは、音量測定器の前に立ち、「コロナ退散~」や今年の目標などを叫び、声の大きさを競った。

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