施設と利用者の橋渡し
丹波篠山市内の介護サービス事業所を訪問し、利用者と話をしながら困り事や要望を聞き、事業所や行政につなぐ「介護相談員」。2002年から20年にわたって取り組んでおり、このほど介護サービス相談・地域づくり連絡会から永年活動功労表彰を受けた。市内からの20年表彰は初で、「私などが表彰をもらってもいいのかな、という気持ち。活動に理解してくれる家族や利用者さん、事業所の皆さんなど、みんなに感謝したい」とほほ笑む。
定年まで社会福祉法人「阪神福祉事業団」に勤務し、さまざまな福祉事業に関わったことから、「学んだことで何か地域に恩返しできれば」と相談員になった。毎月、市内の事業所を訪ねてはさりげなく利用者と懇談。「食事の味が薄いのでしょうゆをかけてほしいと言われて施設に伝えたことがあった。利用者さんは施設に『お世話になっている』という気持ちがあるので、言い出せないこともあるようで。相談員は施設と利用者の橋渡し役ですわ」と話す。また、「人は一人では生きていけないし、自分も将来、お世話になるかもしれない。自分のこととして捉えながらの活動」と語る。
コロナ禍が始まって以降、ほとんど訪問できておらず、「皆さんがどのように過ごされているか、とても気になる。こんなときだからこその相談があると思うので、とてももどかしい。早く顔が見たい」と悔しさを吐露する。
20年を経てなお、活動は継続する。「人生100年時代。もうちょっと頑張りたい」とはにかんだ。
81歳。市内19人の相談員の中で最年長。