兵庫県丹波市山南町和田の老舗料理旅館「播磨屋」の4代目、西田季哲(としあき)さん(46)が、同旅館向かいにあった離れ座敷を改修し、24時間365日利用できるシミュレーションゴルフ練習場を開設。18日にオープンした。「DIVERTITI GOLF(ディヴァティティゴルフ)」。「ディヴァティティ」はイタリア語で「楽しんで」の意。ゴルフ大国、韓国の大手メーカーが手掛ける最新鋭のシミュレーターを4基導入した。天候に左右されない空調の効いた快適な室内でゴルフが楽しめる。西田さんは「24時間営業は丹波地域では唯一。皆さんのプレースタイルや生活スタイルに合わせて、気軽に、自由にゴルフを楽しんで」と呼び掛けている。
4打席いずれもが右打ち用。コースを美しくリアルに映し出したスクリーンに向かってボールを打ち込むと、2台のカメラとセンサーで球威や球の方向を検出。画面が切り替わり、あたかも実際のコースでプレーしているかのような感覚で楽しめる。日本や韓国、米国など世界各国のメジャーなゴルフ場178カ所が収録されており、随時、自動でデータが更新される。ラウンドプレーのほか、バンカーやパターなどの練習モードもある。
利用には会員登録が必要で、レギュラー会員であれば、月額6000円で1回当たり55分間のプレーが可能。パーティションで仕切ることもでき、隣の人の目を気にせず楽しめる。
トイレ、駐車場(10台)を備え、ゴルフクラブも完備。午前9時―午後4時の間はスタッフが常駐している。24時間換気に、空気除菌設備を置き、手が触れる全ての個所を消毒するなど、コロナ対策も万全という。
◆コロナ禍こそのありがたみ感じ
シミュレーションゴルフの経営に乗り出したのは、西田さんが筋金入りのゴルファーだから、というわけではない。「ゴルフは付き合いでたしなむ程度。何より創業127年、4代続く播磨屋を守るため、ウイズコロナ、アフターコロナに対応した新たな商売の柱が必要だった」
本業の料理旅館は、団体客が中心だったので、新型コロナ流行の影響をもろに受け、売り上げは激減。「ウイズコロナの意識が高まってきた昨今ではあるが、昨年の忘年会の客数はコロナ禍以前の半分。売り上げは、まだまだ戻らない」とため息をつく。
料理旅館業以外の仕事で収入を得る方策として、フィットネスやコインランドリーなどの経営も考えた。その中で、旅館の周囲に多くのゴルフ場が点在していることに着目。密を避けられるスポーツとして逆に活況を見せていたこともあり、県内のゴルファー人口も多いだろうと見込んで、国の事業再構築補助金の助成を受けて大勝負に打って出た。
同ゴルフ経営に乗り出す前、福井県で7店舗を経営する男性に教えを請おうと、一か八かで連絡したところ、惜しみなくノウハウを指南してくれた。また、練習場への改修の際には、西田さんの思いを知った友人・知人の職人たちが格安で請け負ってくれたという。
西田さんは、「コロナ禍だからこそ気付けた人のありがたみを今ひしひしと感じている」と感謝の言葉を口にし、「シミュレーションゴルフのプレー後は播磨屋で食事を、という流れをつくりたい」と意気込む。
将来は、レッスンプロを招いて講座を開いたり、コンペやクラブチャンピオン大会を催したりしたいと夢は広がる。
会員登録や店舗詳細はホームページ(「DIVERTITI GOLF」で検索。