見上げればイチゴ畑?―。空中栽培するイチゴの摘み取り体験ができるハウスとカフェを併設した観光施設「Amelie(アメリ)」が、兵庫県丹波篠山市今田町本荘にオープンした。甘い香りが漂うハウス内で、採れたてのイチゴや、イチゴを全面に打ち出したカフェメニューを味わえる。施設を営む株式会社「丹波篠山大内農場」(同市今田町本荘)の大内正博社長(41)は「”映え”に特化した非日常的な空間の中で幸せを感じてほしい」と来場を歓迎している。
ハウスの広さは約660平方メートル。酸味が少なく甘みの強い「章姫(あきひめ)」と、酸味と甘みの両方を感じられる「紅ほっぺ」の2品種計6200株を栽培している。摘み取り体験の料金は250グラムで1000円。
長さ約30メートル、幅約20センチの昇降式の栽培棚が22台並ぶ。棚は電動式で、摘み取る際には、高さ2・5ー0・8メートルほどの間で調整できる。
ハウス内には、4人用テーブル12席を設置。地面にも座れるよう、じゅうたんも用意している。イチゴに囲まれた空間の中で、カフェメニューを味わいながら憩いのひとときを過ごせる。
イチゴを使ったカフェメニューは、クレープやパフェ、ソフトクリーム、スムージー、大福などを提供する。エビやイカなどのシーフードと組み合わせたパスタといった変わり種もある。ハウスに隣接する四角い建物で、大内社長の妻で調理師免許を持つ智恵子さんや、娘のアメリさんらが腕を振るう。
施設名は、大内社長が「小さな幸せを感じられて大好き」と言うフランス映画「アメリ」から取った。娘の名前にもちなんだ。
コロナ禍の影響で農産物の消費量の低迷が見込まれ、黒枝豆狩りで農場を訪れる個人客も減少する中、6次産業化と、農作物を見て楽しめる要素を融合させた観光施設の開業を計画。「見ていて癒やされ、育てても楽しい。一番喜ばれる作物では」(大内社長)と、イチゴを売りにすることを決めた。国の事業再構築補助金を活用した。
大内社長によると、農地で栽培する場合と比べ、空中では栽培スペースに制限がなく、反収の増加につながるという。
摘み取り体験ができるのは12―5月末。大内社長は「シャインマスカットやトウモロコシといった作物のハウスも造り、年間を通じて収穫体験ができる施設を目指したい」と青写真を描く。
「今田は小さな飲食店が増えてきており、大きな温泉もある。今田が、一日中過ごしてもらえるような場所になれば」とほほ笑む。
営業時間は午前10時―午後4時(カフェのラストオーダーは同3時半)。水曜定休。1ドリンク制。テイクアウトも可能。摘み取り体験はなるべく事前予約を。