丹波篠山市立中央図書館で1月29日、イラストレーターで絵本作家の永田萠さん(京都市在住、兵庫県加西市出身)の講演会「読書は心の夢飛行」が行われた。同館主催。丹波篠山市内外から参加した約80人が、永田さんの優しい語り口調と、透明感のある鮮やかな色使いのイラストに引き込まれた。
永田さんは、一昨年5月に逝去した世界的霊長類学者、河合雅雄さん作の絵本「ユカの花ものがたり」の絵を担当した思い出を紹介。「それまで植物を正確に描くのは得手ではなかったが、何度も先生に見てもらった」と振り返った。
また、「私はイラストレーターであり、絵本挿絵作家。私は挿絵が好き。作者とぶつかり合い、『よし!』と言ってもらったときの喜びは大きい。アンデルセンの物語の挿絵を描く仕事もしたが、出会ったこともないアンデルセンから絵描きとして刺激をもらった。これからも、また違う挿絵作家がアンデルセンからメッセージを受け取り、描いていくことだろう」と話した。
幼稚園時代に先生から読み聞かせをしてもらったことが本を好きになったきっかけだったと語り、小学5年生の時の父親とのエピソードも披露。小学校教諭だった父が夏休みの登校日、「次の登校日までに全部読め」と言って学校の図書室から良書を選んでみかん箱いっぱいに詰め込んで帰宅したという。「人生であれほど本を読んだことはなかった。そして、そのどれもが面白かった。父は『自分の好きな本を入れた本箱を持て』という人だった」と、父から影響を受けたことも紹介した。
本を読むことの大切さについて、「いろんな人生を生きる、描かれた人の人生をなぞることができる。想像力によって、心が時を超えていろんな所へ旅をする。学力においては、全ての問題の基礎は読解力。それ以外にも、表現力や、どの言葉を使うのが適切か、というのは本でしか学べない。本は著者からの素晴らしい贈り物。著者からのメッセージを何度も受け取ることができる」と話した。