昨年、文壇デビューした兵庫県丹波市の小説家、瞬那浩人さん(62)が出版社とタイアップし、5月ごろに出版を予定するミステリー小説の登場人物の命名権などを販売している。インターネットを経由するクラウドファンディングを活用するもので、集まった資金を出版費用に充てる。主役や事件を追う刑事、“ちょい役”など、小説内での役割の重要度によって価格を変える。作中に社名や商品名などを登場させたりできる、企業向けの企画も用意している。瞬那さんは「読者参加型でつくる小説は、世界初かもしれない」とほほ笑み、「面白がってくれる人がいればうれしい」と話している。
犯人当てを楽しむ小説「家出少女は危険すぎる」。家出した女子高校生を探すため、大学生カップルが事件を追うという展開。殺人事件も絡む謎を解決できるか―というストーリー。
大学生カップル、女子高生、主要刑事の計4人の主役級は5―8万円。配役は選べない登場人物は8000円から販売する。ペットの犬や猫の名前も決められる。
小説に社名や商品名を登場(1万5000円)させたり、巻末に1ページを使って会社PRができる企画(7万円)もある。写真や挿絵を登場させる権利もある(1万円)。
平成出版(東京)から出版する。瞬那さんが完成済みの同小説を同社に売り込んだところ、企画の提案を受けた。瞬那さんは「冒険心もあってオファーを引き受けた。無名の作家なので、失うものはない」と笑顔。「読者と一緒に小説を作れれば」と話している。
3月30日まで。詳細はクラウドファンディングのサイト「CAMPFIRE」で検索を。
瞬那さんは昨年、ミステリー小説「下弦の月に消えた女」(セルバ出版)でデビューした。