兵庫県丹波市の少年剣道教室、幸世剣道錬成会(12人、田中重雄さん、宮垣祐司さん指導)が19日、同市で創立50周年記念大会を開く。「継続は力なり」を体現し続ける同会の節目を祝い、丹波、丹波篠山両市8教室の約80人の剣士が集う。OBに通知を出しており、大会終了後、交流会で旧交を温める。剣道を通して互いに相手を理解し、人間的に向上する「交剣知愛」(剣を交え、愛しむを知る)の手ぬぐいを、記念品に贈り、同教室が大事にしている剣道の精神を再確認する。
創立時に掲げた活動目標「毎週1回の剣道の稽古を生活の一部とし、試合、勝負にこだわらず努力することの重要性を身をもって教え、苦しみ、楽しみを味あわせ、心身の健康的な向上をめざす」を守り、発足以来、毎週1度火曜夜に稽古している。
少年剣道は少年野球、少女バレーボールより歴史が古い。PTAの要請を受けた田中さんらが指導者を引き受け、1973年(昭和48)に50人ほどで発足した。
さまざまな習い事が生まれ、少子化もあり、会員が2人まで減って存続危機を迎えた時代もあった。一方で、興味を持って自ら入会する子や、武道を通じて礼儀を学ばせたい親の勧めで門をたたく子もあり、50周年にたどり着いた。これまでに輩出したOBは、200人余りになる。
現在は、市内小学校の2―6年生が在籍している。6年生の児童は、試合をする、いとこの姿をかっこ良いと感じ入門。いざ始めると、竹刀、防具が重く、打たれて痛いのでやめたいと思ったが、試合であっけなく負けたことが悔しく、発奮。努力を重ね、5年生で1級に合格した。「つらいことがたくさんあったけれど、乗り越えるとたくさんうれしいことがあった」。友だちに誘われて入会した5年生の児童は、「一年中同じ道着と袴で、夏は汗でビショビショ、冬は足がキンキンに冷える。しんどいときの方が多いけれど、試合で一本を取れたときは本当にうれしい」と、記念誌につづっている。
23歳で指導者を引き受けた田中さんは73歳、錬成会ができた年に柏原高校で剣道を始めた宮垣さんは66歳。技術面を宮垣さんが教え、田中さんは子の「しかり役兼ほめ役」。「教士七段」の指導者2人が、開会式で演武を見せる。
田中さんは、「火を消したらおしまいと、厳しい時を宮垣と乗り越えた。子どもたちのおかげでこの年まで続けられ、感慨深い。『打って反省、打たれて感謝』の言葉通り、前向きになってくれるように心掛けて、粘り強く指導し、剣道を長く続けてくれることを願っている」と言い、約30年指導に当たっている宮垣さんは、「続けることが大事。週1回の稽古で試合ではなかなか結果が出ないが、基本練習をこつこつ続けていることが幸世の良いところで、長く会が続いた理由かもしれない。私は手伝い。田中さんについてきた。田中さんが良く続けられた」と先輩をねぎらった。