春の陽気に誘われ、兵庫県丹波市氷上町三原の道本肇さん(81)宅の庭の枝垂れ梅が、満開の見頃を迎えている。外出がしづらい車いす生活で、窓から見える花や鳥に四季の移ろいを感じ、「春が来たという感じ。今年は満開になるのが早い」と、薄桃色の花を愛でている。
梅は、昭和50年生まれの長女が、高校を卒業した頃に植えたもの。長女が買ってきた苗を、道本さんが植えた。樹高は2メートルほどと高くはないが、球を半分に割ったように、ふんわり枝が垂れ下がっている。
妻に先立たれ、かわいがっていたチワワを昨年11月に見送った。寂しい春に咲き誇る梅に、いつもの年以上に癒やされている。
「あの時に植えておいて良かった。娘のおかげ」と感謝し、「梅を見て春の訪れを感じ、家に入ろうとするツバメを見ると、春本番かなと思う」と静かに語った。