卒業式を控えた兵庫県丹波篠山市の篠山産業高校で、在校生や教諭を前に、3年生有志が歌やダンスのステージを披露する「卒業記念公演」が開かれた。入学時から新型コロナウイルスの影響で学校生活が制限されてきた3年生。「在校生や先生に感謝を伝え、学校を元気付けたい」と、有志で実行委員会「サンキュー委員会」を立ち上げ、初の公演を企画した。出演しない3年生も一体となって会場を盛り上げ、熱気あふれるステージと最高の思い出をつくり上げた。
会場の体育館で、およそ400人の生徒、教諭が見守る中、17人が出演。友情を描いた曲のカバーやラップの歌唱、ダンス、ペンライトを持って踊る「オタ芸」を披露した。実行委のメンバー約10人は裏方に徹し、手作りのLEDライトやスモークなどで本格的なステージの雰囲気を演出。3年生はペンライトを振り、出演者のコールに応えていた。
5人グループ「オレンジネキ」は、オレンジ色のパンツで、切れのあるオリジナルダンスで会場を魅了した。この日に向けて休日などに練習を重ねた。メンバーの一人は「練習から通して今日が最高の出来。最後の最後で思い出ができた。一生忘れない」と笑顔だった。
2人組ユニット「Lil Boy」は、ラップのオリジナル曲「MY LIFE」を歌った。歌詞には、仲間と過ごした高校生活の中で感じた思いを盛り込んだ。在校生も巻き込んで「MY LIFE」というフレーズを合唱。メンバーは「楽しかったの一言。3年間の中で一番の思い出」と充実感をにじませた。
最後は、4つの学科ごとの「あるある」や、在校生への思いなどを替え歌にした「明日があるさ」を、3年生全員で在校生と教諭らへ向かって歌った。曲終了後には紙テープを投げ、盛大に幕を閉じた。1、2年生も3年生の盛り上がりに応じ、手拍子を送りながらステージを楽しんでいた。
コロナ禍で修学旅行はなくなり、文化祭や体育祭など多くの行事も規模が縮小された。歌やダンスなどの特技を持つ3年生が多いことから、学年付の教諭が卒業記念公演を発案。有志の生徒が応じ、実行委を結成した。1、2年生には一切明かさず、密かに準備を進めてきた。
実行委員長の生徒は「高校生活は楽しめないと諦めていた。けれど、『最後ははっちゃけて終わりたい』というのが3年生みんなの望みだった。全員で楽しめて大成功。企画して良かった」とかみしめていた。