福住まちなみ保存会会長 森田忠さん(丹波篠山市)

2023.03.19
たんばのひと

森田忠さん

栄えた往時の姿へ少しずつ

丹波篠山市福住地区で、景観保全や魅力あるまちづくりなどを進める住民団体「福住まちなみ保存会」の会長を、2年前から務める。同地区の西京街道沿い(3・2キロ)は、国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建地区)に選定されており、5月には福住地区で重伝建地区の全国大会が開かれる。「宿場町と農村の風景が細長く伸び、一体化しているのは、全国的に見てもここだけ」と胸を張り、「江戸時代に宿場町として栄えた頃の盛り上がりに、少しずつ近付いてきている」と話す。

同保存会は、福住地区内の34件の物件改修をサポート。改修後の伝統的な建物を活用し、イタリア家庭料理店やカフェ、パン屋、古着屋などの店を開業する人や、若い世帯の移住者が増えた。地区内の児童数は、福住小学校が閉校した2016年は40人だったが、現在は57人まで増えているという。

歴史的な町並みや働き方の変容に加え、地域住民の人柄が、この地での移住、開業の大きな決め手になっているという。「宿場町として外部の人を受け入れられる土壌がある」「地元の人はなかなか冒険ができないが、移住者は夢を持ち、『業』をしようと来てくれている。水路の掃除や獣害柵点検に出てくれる人もいて、地域がどんどん元気になっている。店も増えた今の風景は、地元住民にとっても新鮮に見え、『守っていかないといけない』という気持ちが強まっているのでは」と言い、「100年後まで地域を残すため、農地、山の維持にも『オール福住』で取り組んでいきたい」と語る。

川原集落にある、古民家を活用した宿「森の風土」のオーナー。71歳。

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